〈パティスリー ミネット〉
柏堂 肇さん・彩加さん
2019年11月に、夫婦ふたりでオープンしたパティスリー。お互い猫が好きなことから、店名はフランス語で子猫を意味する「ミネット」に。コロナ禍の中、好きなことをやろう！とショーケースの中を“ねこだらけ”にしたことで、SNSで話題になる。
早い日にはお昼頃に商品が完売、全国から猫マニアが集まる人気のお店。

2022年1月4日。その日は突然やってきました。いつものように、ご主人・肇さんがSNS内に開店後のショーケースの写真をアップ。その際につけたひと言は「ねこだらけ🐾🐾🐾」。これがさまざまなネットニュースで紹介され、全国各地の猫好きさんの目に止まることに。“バズる”体験をした2日後。オープン前のお店に、お客様がずらりと並んでいました。準備していたケーキがあっという間に完売。この日のことを肇さんは「なんの準備もしていないのに、クリスマスがやって来たようだった」と言います。それ以来開店を待つお客様が絶えません。作って、売って、作って、売っての繰り返し。早い日には、午前中にショーケースが空っぽになります。

兵庫県西宮市。駅から少し離れたところに店舗を構える〈パティスリー ミネット〉。もともと人気パティスリーで一緒に働いていた肇さんと彩加さんが独立したのは2019年11月4日。それぞれ猫が好きで、小さい頃から家に猫がいたという生粋の猫好き。店名を考える時もいくつか候補があったものの、フランス語で子猫を意味する「ミネット」に決定。とはいえ、猫モチーフはほんの一部だったそう。コロナ禍をきっかけに、「好きなことをやろう！」と猫のデザインが増えていきました。そしてバズったSNS。ケーキ屋が多い地域柄。他店との差別化も考えた結果、ふたりで“ねこ”を突き詰めていきました。

〈ミネット〉のケーキや焼き菓子をよく見ると、鼻の辺りがぷっくり。“マズル”を表現しています。さらに、猫足クッキーは肉球が7個。リアルな前足の再現デザインが、猫好きの心をギュッと掴みました。基本的にデザインを担当しているのは彩加さん。より本物に近い表現をしたい。長年猫と暮らしてきたからこそのこだわりです。

パティシエの仲間たちから「信じられない」といわれる複雑なデザイン。毎年人気のクリスマスケーキを見ても、年々“ねこ”感が増し、複雑で手間のかかるものになっていきます。1年に1度のクリスマスだからこそ、同じケーキではなく去年より楽しんでもらいたい。と、肇さん。
昨年は、予約スタート1日目でいっぱいに！これではお客様に怒られる、と予約数を増やしたのだそう。「自分のレベルをあげるしかない！」と日々制作に励みます。現在お店の定休日は、火・水・木曜日。しかし、ほぼ仕込みに費やすのだとか。ただただ猫好きさんに喜んでもらいたいから手は抜かない。ネコの顔が変われば、中のムースのフレーバーも変えるこだわりよう。そんな気持ちがあるからこそ、仕事を終え、帰ったふたりを迎えてくれる「とん」と「ぷぅ」。朝方、お腹の上に乗られても、お尻を向けられても、布団がかぶれなくて寒くても、そこに猫たちがいてくれるから、今日もときめく“ねこ”スイーツが作れるのです。

バタークリームをサンドした、その名も「にゃんサンド」。クリームは6種類。6匹のねこさんたちにそれぞれサンドした、猫好きのハートをくすぐるデザインです。一つひとつ手づくりのため、よ～く見ると表情が違います。自分へのご褒美に、猫好きさんへのプレゼントに。どうぞこの機会をお見逃しなく。