お菓子が好きな人とお菓子屋さんをつなぐサイトとして生まれた「関西スイーツ」の立役者・三坂 美代子さん。スイーツイベントの企画・運営をはじめ、ブランドのコンサルティング、神戸スイーツの魅力発信基地の運営、テレビ出演など活躍の場は幅広い。

大学を卒業後、女性システムエンジニアの先駆けとして電力会社に入社。その経験から、PC1台でできる仕事をしよう。という思いを持ちはじめた三坂さん。ある時、取材日を忘れてしまったライターの友達に頼まれ、相手先のケーキ屋さんへ三坂さんが代わりに謝りに行くことに。そこからケーキ屋さんに目にかけてもらえるようになった三坂さん。システムエンジニアの経験を生かし、ケーキ屋さんを集めたホームページを作成することになりました。まだまだネット環境が整っていない時代。目新しさもあり話題にはなるものの、アクセスカウンター数はいまひとつ。これが、三坂さんのスイーツの達人への第一歩となりました。

スイーツ業界に関わりはじめたことで「兵庫県洋菓子協会」から声がかかりました。世の中にIT化の波が立ちはじめた頃。洋菓子協会から頼まれ、IT化に向けた勉強会の講師を任されます。すると、参加者から直接質問の電話がかかってくるように。「電源が入らない」「矢印(カーソル)が消えた」「プリンターが動かない」などなど。と同時に、ホームページの認知度を上げるための策にも乗り出しました。「インターネットってなに？」と聞かれる時代。製菓に関わる卸業社など、知り合いを通し日に10軒も訪ね歩いたそう。そんな日々の中、気づけば携帯電話にはお菓子業界の人たち約700名以上もの連絡先が保存されていました。「ケーキ屋さんへの謝罪も、講師の依頼も、どんな時でも私「NO」って断れなかったんですよね」その結果、三坂さんは膨大な人脈に恵まれるようになりました。

よく行くお店のシュークリームから、"粉糖"が消えました。「なぜ？」疑問が湧いてきます。これをヒントに、作り手に、食べる側の意見が届くようなシステムを思いつきました。参加者を集め、新作のスイーツを食べてもらい、感想などを集めシェフに届ける。これが好評となり、ホテルでの有料イベントにまで成長。その後「別バラ隊」と名付けられた試食会は、長い間開催されました。「NO」と言えず、数ある難問に挑み続けた三坂さん。神戸産の食材にこだわったスイーツ作りを行政から依頼されたり、JTBとコラボレートしスイーツマラソンを企画したり、スイーツにまつわるさまざまなイベント・企画を成功に導いてこられました。

2017年〜2019年の3年間、東灘区の六甲アイランドで同ブランドのセレクトショップを運営していた三坂さん。今回はさらにパワーアップして、2023年10月、西神中央に新たなショップをオープン。店内には、洋菓子の街・神戸ならではのお菓子を数多く取りそろえています。技術の高い職人の味や神戸市産のフルーツを使ったスイーツ、神戸タータンのパッケージ、さまざまな切り口から神戸スイーツの魅力をお楽しみいただけます。さらに、シェフが実演販売をするスタジオやポップアップショップ、ワンちゃん同伴で入店OKのカフェも併設。
地域との共生を図りながら、神戸スイーツのさらなる魅力アップに貢献しています。

※毎月15日更新です。