守りたい田園風景の中で、
アイガモとワクワクする農業を。
〈農事組合法人 アイガモの谷口〉谷口 正樹 さん
兵庫県美方郡新温泉町で、江戸時代から代々続く農家を営む谷口さん。
1992年、現会長である祖父がいち早く自然循環型農業に注目し「アイガモ農法」をはじめる。
現在も、できる限り農薬を使わない自然に近い環境の中でアイガモとアイガモ米に取り組みつつ、農業の可能性に挑む。正樹さんは15代目。
食べたものが体をつくる。
「健康」を意識した農法へシフト。
代々農家を続けてきたという谷口家。13代目である祖父が、交通事故でケガをしたことをきっかけに「健康」への意識が高まりました。これまでの農薬を使った米作りが、環境にも、人にも負担になっているのでは?と考え、たどり着いたのが「アイガモ農法」。今から30年ほど前のことで、正樹さんが生まれる前の話です。アイガモ農法に切り替えた頃は、試行錯誤の毎日。田んぼの面積に対してアイガモが多いと稲が食べられ、少ないと雑草が増える、朝田んぼに行くとアイガモが飛んで逃げていた、カラスや猫などにやられてしまった、など自然や外部環境との戦いだったそう。
故郷を離れたからこそ実感。
「食」の重要性と「農業」の可能性。
小さい頃から祖父や父が働く姿を見ていた正樹さん。休みがない、しんどいなど、農家にありがちな大変さを感じとり、「農業をやりたいとは思わなかった」と言います。地元を離れ、西宮で都会暮らしをはじめると食べるものが変化していきました。「食べたもので体ができている」そう言っていた祖父の言葉を思い出し、改めて“食の大切さ”に気づいたのでした。正樹さんが地元に戻り、家族とともに農業をはじめる頃になると、周りでは高齢化とともに空いた農地が増えていきました。谷口家で借り受け米を作るなど、できることはしてきましたが、だんだんと厳しい状況に。守りたい田園風景が変わって行く。そんな危機感を抱え、農業の見直しがはじまりました。
「但馬鴨」の飼料は自社のお米。
循環型の食肉の生産に。
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黒但馬鴨(田んぼを泳いで稲を育てる鴨です)
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但馬鴨(お届けする鴨です)
「アイガモの谷口」では2種類の鴨を育てています。「アイガモ農法」で使われるのは小型の『黒但馬鴨』。ヒナの時から田んぼに放たれ、虫をついばみ、土壌をかき混ぜることで雑草が生えにくい環境を作ります。稲もアイガモにつつかれ、太く強く育つそうです。それとは別に食肉用として生産されているのが白くて大きめの『但馬鴨(お届けする鴨です)』。こちらは鴨舎で、外部の飼料に頼らず自社の飼料用米で育てた泳がない鴨。この2種類の鴨によって、田んぼが活かされ、循環し、守りたい田園風景の保全にもつながっています。
自分たちが食べたい鴨肉をつくる。
未来を担う子どもにも食べてもらえるように。
食用に選んだアイガモは少し大型で、肉質がやわらかく食べやすいといわれるチェリバレー種。〈アイガモの谷口〉では、通常より長く90日間平飼いで飼育します。飼料にお米を与えているため、脂はあっさりめ。しかし、長めに飼育する間にしっかりと運動ができ、鴨らしい肉の味わいが増します。「餌も自分たちで手がけることで、より健康に育つアイガモ。自分たちが食べたい、と思える肉を作らないと」と正樹さん。お子様が生まれ、祖父の言葉への理解が深まり、自身も「生産過程のわかるものを食べさせてあげたい」と強く思うようになりました。現在、〈アイガモの谷口〉で働くスタッフの2/3くらいが20代。いとこや知り合いに声をかけたり、農業高校からの就職を受け入れたり。正樹さんは近代化も取り入れながら、自然を守るこれからの農業について考えては、「毎日ワクワク」しているそう。いまでは稲作がはじまると、子どもたちをはじめ地域一帯で、アイガモのヒナたちがカラスなどに襲われないかと見守り隊をしてくれます。このふるさとを守り、農業を守る後継者にも繋がると信じて。今日も元気な祖父に教わりながら、アイガモと過ごしています。
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冬におすすめの「鴨鍋セット」をご用意。『但馬鴨』は深い甘み、旨みが凝縮しています。
噛めば噛むほど、にじみ出るうまみをぜひ、お楽しみください。