大丸心斎橋店のさまざまなニュース、トピックスを取り上げて紹介していく「FEATURE」。今回は、本館地下1階の食品売場にこの秋オープンしたスイーツの注目店を紹介。大丸で20年以上食に携わり、店舗開発を担当する大道智樹のナビゲートで案内をしていきます。2回に分けて紹介する後半のテーマは、“ライブ感”。ギフトに最適なお菓子情報もお楽しみください。
店頭での抹茶ライブで、
日本文化を伝えたい。
〈茶寮伊藤園 練〉大丸心斎橋店本館B1F
まず最初に紹介するのは、11月7日(木)にオープンした「茶寮伊藤園 練(れん)」。日本茶でおなじみの「伊藤園」が初めて展開する新業態のお店です。
「こちらの店で一番注目すべきポイントは国産の碾茶(てんちゃ)を使った抹茶スイーツやドリンクをその場でつくってもらえて、いただけるということです」
そう大道が話す碾茶とは、抹茶の原料となる茶葉のこと。
「碾茶を乾燥させて石臼などで挽いたものが抹茶となります。この碾茶を使ったジェラートやドリンクが店のセールスポイントです」と店長の水本太智さん。
この秋、大丸心斎橋店本館地下食品売場に新店を迎えるにあたって、大道が特に大切にした3つのポイントのうちのひとつが、海外からのお客様に喜んでもらえるということでした。
「『茶寮伊藤園 練』はオープンして間もないですが、やはりインバウンドのお客様が多い。最近思うんですけど、抹茶や最中に対して海外の人はすごく興味があって、よく勉強している人、よく知っている人が買ってくれる。日本の文化に食を通して触れたいというお客様が多いんです」
大道の言葉を受けて水本店長は、「そうですね。抹茶のことは外国人のお客様はよく知ってらっしゃいますね。最中に関しては、『これ、小麦入っているんじゃないですか』ってよく聞かれるのですが、うちのは小麦を使わずアレルギーにも対応しているので安心して食べていただけます」
最中が入った抹茶ジェラートは、注文を受けてから店頭で抹茶を練るところからつくり始めます。
「実際につくるのを見ていて面白いなあと思ったのは、電動の茶筅を使っているところ。そして、作業をする台が畳敷きになってるんですよ。海外の人はよく写真を撮られるらしいですね」と大道。
やはり手で茶筅を使って抹茶を練っていると、お客様を待たせすぎてしまうので、電動のものを活用しているそう。
「日本人からすると電動というのは斬新ですし、海外の方はこれで抹茶をつくっていると振り向かれる方も多いですね。『これ、どこで売っているんですか?』と聞かれたりするんですけど、特注なので売っていないんですよ」と水本店長。
「特注? さすが伊藤園!」という大道に、「うちが開発したわけじゃないんですけどね」と笑う水本店長です。
ここで、「伊藤園」初業態という「練」という屋号について、水本店長にその由来を聞きました。
「抹茶には薄茶と濃茶の2種類があって、茶道など一般的には薄茶が広く知られているのですが、この時は“抹茶を点てる”と言います。濃茶の場合は“抹茶を練る”と言うのですね。お作法も違っていて、こちらのお店では、練る濃茶のおいしさを伝えていければと思っています」
「今こうやって店長に話を聞くだけで、日本の文化がわかるじゃないですか。この店では、店頭で実際に抹茶を練りながら、それを伝えていってほしいと思いますね。やはり日本茶文化を知り尽くしている伊藤園さんだからこそできる接客だと思います」と大道。
オープンして間もないですが、お客様についてのエピソードを聞く大道に、水本店長は、「最近は、外国人も日本人も、お子様が抹茶をおいしいって飲んでくれますね」
「そうなんや」と驚きながら大道は、「食の好み傾向が変わってきたんかなあ。昔は子どもといえば甘いのが好きだったけど。時代が変わったかもしれないね。でもこの貴重な日本の文化を伝えることが大切で、小さな子どもにも伝わっているということですよね」
店を出るとき、「一人で大変だと思うけど、もう少しメニューを増やしてもいいと思うんですよね。これからもがんばってね」と声をかける大道に、「これから、ここだけでしかできないことをやっていきたいです」と答える水本店長。お店と百貨店、それぞれの立場でよりよい店を目指すことで、おいしいスイーツがつくり出されるのかもしれません。
目の前で調理される
フルーツサンドのシズル感。
〈Be!JUICE&SANDWICH〉大丸心斎橋店本館B1F
続いて訪れたのが、9月16日(月・祝)にオープンした「Be!JUICE&SANDWICH(ビー!ジュース&サンドイッチ)」。青果専門店「フレッシュワン」が手がける、フルーツサンドとジュースのお店です。
「果物店がやっているので、とにかく鮮度がいいフルーツがしっかりサンドイッチに入っている。そして、やっぱり店頭でつくっているのは強いですよね。できたての鮮度感が違いますから」と大道。
店長の長谷川未季さんいわく、「Be!JUICE&SANDWICH」の店舗の中でも、店頭でサンドイッチを実際につくっているところを見ることができるのは大丸心斎橋店だけだそう。
「ここでつくっていると、外国人のお客様などは、じっと見ていかれますね」と長谷川店長。
一番人気だというまるごといちごサンドを実際につくっていただきました。
サンドイッチをつくるのを見ながら、大道は、「やっぱりライブ感がありますね。なんでもそうですけど、シズル感があるのはおいしく感じるし、見ているだけで楽しい」
「生クリームもここで朝からつくっているんですよ。パン以外はここでつくった、できたてを提供しています」と長谷川店長。
「生クリームと果物の合わせ方などにこだわりはあるんですか?」という大道の質問に、長谷川店長は、「そうですね、基本的には2種類の味のクリームがあって、シャインマスカットサンドなどぶどう系は、甘みを少し抑えめにしたクリームを使っています」
旬のおいしさがあるのが、フルーツの魅力。長谷川店長に、冬から春にかけて、これからのおすすめのフルーツを聞いてみました。
「これからはイチゴですね。秋まではシャインマスカットを推していましたが。ちょうどミカンもだいぶ味がよくなってきました」
「ミカンは、これから紅まどんななど国産のいいものが出てきますよね。海外の方って、日本のフルーツのクオリティの高さをめちゃくちゃわかってくれている。向こうでは価格が高くて鮮度が落ちることも多いのですが、こちらはとれたて。それを目の前で調理してもらったら、うれしいでしょうね」と大道。
サンドイッチと並ぶ店の看板商品が、フルーツを使ったフレッシュジュース。一番人気は大阪ミックスということで、「大阪ってミックスジュース文化がありますからね」と大道。
ショッピングの合間に、ちょっとリフレッシュするのに最適です。
ギフトにすると喜ばれる
センスのいいドライフリット。
〈AND THE FRIET〉大丸心斎橋店本館B1F
「ポテトを好きな人は多いけど、上質なドライスナックをギフトにできるブランドってあまり無いと思います。このお店は商品のおいしさに加えて、店舗名、商品名、品ぞろえ、パッケージ等、店舗のブランディングも秀逸でとてもオリジナリティがあると思ってます。菓子ギフトとして総合的にすごくクオリティが高いと思います」
大道のニュースイーツショップ行脚、トリを務めるのは、フレンチフライ専門店が追究した “サクサク食感” のプレミアムスナック「ドライフリット」を販売する「AND THE FRIET(アンド ザ フリット)」。大丸心斎橋店は2024年の初夏にオープンしました。ギフトとしてのポテンシャルを大道も大絶賛です。
「AND THE FRIET」は、季節ごとに厳選した6種の芋から、お好みの品種とカットを選んで、多彩なディップやトッピングを組み合わせて楽しむ、新感覚でリッチなフレンチフライ専門店です。2017年に新感覚のプレミアムスナック「ドライフリット」の販売をスタートしました。
「フレンチフライの魅力をより気軽にご家庭で楽しんでいただくために開発したスナックがドライフリットです。真空状態のフライヤーでゆっくり時間をかけて、サクサク食感を引き出すことにより、お芋の味を凝縮させているので、上質感のある味わいを楽しんでいただけます」とスタッフ。
フレーバーは、定番が6種類ありますが、その中でも発売当時から人気があるのが、ダブルトリュフソルト。
「2022年にイタリア産の黒トリュフを倍増してバージョンアップしたフレーバーで、トリュフの芳醇な香りを楽しめるのが魅力です」とスタッフ。
「面白いのは、フレーバーによってポテトの形を変えているところ」
フレーバーによって、ジャガイモのカットを変えているところにも大道は注目。ダブルトリュフソルトとプレミアムソルトはストレートカット、その他のフレーバーはウェッジカットを採用しています。
現在、「AND THE FRIET」では、さまざまなタイプのギフトボックスを用意して人気を博しています。
「ジャガイモのお菓子って、ポテトチップスなど普段から良く食べられるもので、お客様がプレゼントとして購入いただくために、完成度の高いものにするのはすごく難しいと思うんですよね。でも「AND THE FRIET」さんは、そのために店舗づくりをすごく練り上げてお考えになられていると思います。フレーバーによって、ジャガイモのカットを変え、感じる風味を際立たせていて、また、独自のパッケージが目をひきます。やはり人にあげたい、あげた人に喜んでもらえて、なおかつ自分も食べたいってなると思います」
ギフトとして、総合的にすばらしいと言う大道ですが、もちろん大切なのは味だとも言います。
「思ったよりも歯応えがあるのですが、最初はフレーバーの味がするんですね。そして食べ進めていって最後に噛んだ味がしっかりジャガイモなんですよ。だから満足感がある仕上がりになっていて。すごく考えられていますね」
味もパッケージも、今の時代に合わせてますます進化しているスイーツの世界。そのおいしさと楽しさが詰まった大丸心斎橋店のニューフェイスに出会いに、ぜひ本館地下食品売場を訪れてください。
※今回掲載の内容は2025年1月17日現在の情報を掲載しています。
写真/西島渚 取材・文・編集/蔵均 WEBデザイン/唯木友裕(Thaichi) 編集・プロデュース/河邊里奈(EDIT LIFE)、松尾仁(EDIT LIFE)
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