DRAMATIC FLOWERS
季節のおもてなし
日本の四季を感じる館内のフラワーアートは、
海外からの評価も高い、
グリーンディレクター西畠靖和さんによるもの。
制作の舞台裏を探りに「花一春園」へ。
館内の装飾写真は11月20日に撮影。デコレーションの一部の展開は変更になっておりますので、取材時の装飾とともに、来館の際にはアップデートされた装飾もお楽しみください。
予想もしていなかった変化があり、激動の2020年も終わりを迎えようとしていますが、パルコが復活オープンし、さらなるにぎわいを見せている心斎橋。大丸心斎橋店本館では、ポップでカラフルな装飾が街に彩りを与えています。
ヴィヴィッドなピーコックグリーンと赤が印象的、バルーンアートのような愛嬌があるデザインの「HO HO HOLIDAYS」の文字が、館内外のあちこちに配されて目を引きます。
この「HO HO HOLIDAYS」はサンタの笑い声をイメージ。いろいろと苦しみや悲しみ、痛みがあったこの1年だけど、せめてクリスマスの時期は「笑い声にあふれたものになりますように」という想いが込められました。
1階ステージでは、「HYDROGEN(ハイドロゲン)」と「DENHAM(デンハム)」がコラボして生まれたオールインワンを着たマネキンたちが、何やら作業をしているような姿で舞台に立っています。
「ここで風船を作って、ここから各階に広がっていくというストーリー。よく見ると、缶からはペンキがあふれてるでしょ。いわばホリデー工房ですね」とは、大丸心斎橋店装飾担当の段野正夫。なるほど、「HO HO HOLIDAYS」のバルーンはここで作られているわけですね。
2階から3階のフロアにかけては、グリーンディレクター・西畠靖和さんが手がけた植栽が、落ち着いた雰囲気を演出しています。花材は、ピセアプンゲンスという針葉樹です。
「ピセアプンゲンスは、北海道が一大産地。雪をまとったような銀青の美しい色合いが魅力です。館内には一般的にクリスマスツリーとしてイメージする三角形のものと、樹形が愛らしい楕円形のものが飾られています」と段野。
4階から6階のエスカレーター前は、「HO HO HOLIDAYS」の演出とさまざまなブランドがコラボレート。マスクもファッションアイテムの1つとして展示されていますが、これらはすべて大丸心斎橋店で購入できるもの。
「ネオンサインやバルーン風の文字を使って、今までのクラシカルな大丸心斎橋店の装飾とは違うポップなものとなりましたが、こういう雰囲気もいいですよね。隣に心斎橋パルコもオープンしましたし、楽しい色使いをこれからも取り入れていきたいです」と段野。
館内を歩いていて気づいたのが、消毒液の台にも、ピーコックグリーンと赤色をまとうキャンディのようなストライプがあしらわれていることです。
コロナ禍で、さまざまなところで注意を払わなければならないご時世、何かと神経を使いますが、そういう場面でも少しでも楽しい気持ちになってもらえればと、表示サインにもサンタ帽をオン!
そんなちょっとした心遣いは、館内のさまざまなディテールにも現れていて、7階のエレベーター前の鉢に入った植物には、クリスマス仕様の赤いリボンがつけられています。
3階の「SIXIÈME GINZA SHINSAIBASHI」を訪れると、西畠氏による印象的な植物アートに出会えます。オーガスタの葉を乾燥させて、ゴールドやブロンズを調合した塗料で染めた作品は、まるでドレスのよう。店の中で輝きを放ち、ファッションを引き立てています。
東京・銀座のGINZA SIXにあるセレクトショップの2号店として、大丸心斎橋店に出店した「SIXIÈME GINZA SHINSAIBASHI」。「本物」「上質」「一流」をテーマに商品をセレクトしていて、秋冬は、「季節の移ろいを感じながら秋の夜長を楽しむこと」「自然との共生」「自分が心地よい過ごし方を見つけて、日々の暮らしを豊かにすること」を提案しています。そんなショップのコンセプトにふさわしいデコレーションですね。
7階のエスカレーター前には、オリーブの木が置かれ、かわいいキャンドルがアクセントになっています。そして8階の「ロイヤルコペンハーゲン」の前には、一際大きなチャボヒバが飾られました。
周りの環境を考えて植栽を作る西畠さんらしく、「ロイヤルコペンハーゲン」のクリスマス商品をイメージしたかのような銀青色の針葉樹に、上品なイルミネーションが添えられています。そしてショーケースの中には小さな小さなサンタクロースの姿が! 樹木の下に置かれたプレゼントを届けに来たのかもしれませんね。
レストランフロアの10階には、華やかなヒマラヤ杉のツリーが飾られています。フロアにある寿司などの和食のお店の雰囲気に合わせて、まるで和傘のように剪定された木には、HO HOの文字装飾と愉快なサンタクロースがぶら下がっています。
最後に、一般のお客様は入れないのですが、「D’sラウンジ」に展示された西畠さんの作品も特別にご紹介します。雪景色の森に誘われたような美しい作品の花材はコニカ。わざと枯れた木を引き取って、独自にブレンドしたシルバーの塗料を柄杓でかけて彩色を施しています。
「西畠さんは、染色しているイメージとちゃいますか」と段野。
テーブルの天板も新たに制作されたもので、表面を丁寧にこすり、年輪を浮き上がらせる浮造(うづくり)加工によって、自然のぬくもりを感じられる空間に仕上がりました。作品全体が、景色の一部のように一体化しています。
“Withコロナ”の生活はまだしばらく続きそうな年末ですが、大丸心斎橋店にいらっしゃるお客様には、「HO HO HO」と笑って過ごして欲しい、そんな願いを込めて。明るい2021年が訪れますように。
写真/エレファント・タカ 取材・文/蔵 均 WEBデザイン/唯木友裕(Thaichi) 制作・編集/河邊里奈(EDIT LIFE)、松尾仁(EDIT LIFE)
日本の四季を感じる館内のフラワーアートは、
海外からの評価も高い、
グリーンディレクター西畠靖和さんによるもの。
制作の舞台裏を探りに「花一春園」へ。
DRAMATIC FLOWERS Vol.2
DRAMATIC FLOWERS Vol.1