Professional's Eyes
スタイルのある暮らし
大阪の第一線で活躍する方々と一緒に、生活を豊かにする視点、もの選びのコツに迫ります。館内の注目アイテム、心斎橋のお気に入りスポットをご紹介。心地よい暮らし、大阪のシビックプライドを求めて。
ARCHIVES「人生の80%は3歳までに決まる」を合言葉に、2歳児のための知育プレスクールと0歳からの脳育保育園を経営する、合同会社はぐみぃー代表の中村順子さん。幼児教育に約25年携わってきたスペシャリストとともに大丸心斎橋店本館のベビー&キッズフロアを巡り、知育玩具や子ども服、ベビー用品の選び方をうかがいました。
※2024年7月をもって閉店いたしました。
中村さんがまず訪れたのは、世界中の優れたあそび道具を赤ちゃんから小学生頃までの発達段階に合わせてそろえる「ボーネルンド」。「昔から大好きなブランドです」と話す中村さんは、自身が運営する知育プレスクールの空間をボーネルンドにプロデュースしてもらったほど、絶大な信頼を寄せています。大丸心斎橋店にはボーネルンドの遊具を試せる遊び場やベビースペースがあって、自由に利用できるのも魅力です。
「前から気になっていました」と中村さんが手にしたのは布製の風船カバー、ブーバブルーン。風船をカバーの中に入れて膨らませるので割れにくく、ボール感覚で投げたり、弾ませたりできるアイテムです。
中村さんも強度を確かめながら、「風船が割れたときの痛みを知っているせいか、最近は風船を怖がるお子さんが多いんです。でも、これだと力を入れても割れにくいので、怖がらずに遊んでもらえますよね」とアイデアに感心。「ラテックス(天然ゴム)アレルギーのお子さんもいらっしゃるので、ゴムに触れずに遊べるのも画期的です」。
赤、黄、青の3種類があるしわくちゃボールは、中村さんも息子さんと遊ぶときに愛用したアイテム。赤、黄、青は混ぜ合わせるとほぼすべての色を再現できる“色の三原色”。生後間もない赤ちゃんは視力が弱いのでこういうはっきりした色が見やすいと言われています。信号と同じ組み合わせなので、それを学ぶのにもよさそうです。
「現代の生活は便利なもので溢れていますし、子どもの外遊びの時間も減っているので、お子さんの握力が弱くなっているんですよ。だから、こういうボールをぎゅっとつかんで握力が鍛えられる遊びって意外と大事なんです」と中村さん。
しわくちゃボールのようなロングセラーがある一方で、店長の李同さんが新作として薦めてくれたのは、かんてんネンドStudioシリーズの新色。日本では小麦粘土が主流ですが、寒天粘土は小麦アレルギーの子どもでも安心して遊べると評判。そして驚くべきは粘土の色が半透明のクリアカラーになっていること。水彩絵の具のように色と色を重ねることができ、表現の自由度がアップ。こうした知育玩具の進化を見て、中村さんもワクワクしている様子。
マグネティック マイティーマインドは、まる、さんかく、しかくのタイルを組み合わせて、問題カードにある図形をつくる、かたち遊び。「自分で考える力がつきますし、指先を細かく動かす練習にもなります」と中村さん。
また、タイルに付属のマグネットを貼るとトレイにパチンとくっつくので、電車の揺れなどで配置が崩れることもありません。中村さんも「息子と新幹線に乗るときは箱ごと持って行ってました(笑)」と重宝していたようです。
お店のあちらこちらに知育プレスクールで実際に使っているもの、子育てのときに愛用したものがあって、見つけるたびに子どもたちとの思い出が蘇ってきた中村さん。
ひとつの商品に何通りもの楽しみ方や使い道があるのがボーネルンドの楽しいところだと思います。ただピカピカ光るだけのおもちゃは飽きるのが早いけれど、ボーネルンドのおもちゃは長く使えるから出産のときに買っても4~5歳まで使える。結局、お得なんです(笑)」
続いて中村さんが向かったのは「For kids’ by こぐま」。有名ブランドのおもちゃから海外のベビー用品までを幅広くそろえるセレクトショップです。こちらの一角にも知育玩具コーナーが設けられています。
店内を見渡しながら、「昔に比べておもちゃは進化しています。子どもの発達段階に合わせて面白いものがたくさんあるからこそ、与えるだけではもったいない。子どもたちは自分でおもちゃを選べると楽しいし、納得して遊べるんですよね。その選べる環境を整えてあげるのも大事」と中村さん。
お店でセレクトしているおもちゃは知育玩具、プラモデル、ペット感覚のアニマルグッズなど多彩で、トミカに関しては「毎月新車が出ます」と店長の西村さん。中村さんのプレスクールでもトミカは人気アイテムの一つ。卒園した子どもたちが寄付してくれるので、プレスクールにはレアなアイテムもあるそうです。
「トミカって男の子のおもちゃのイメージがありますよね。でも、女の子も結構好きなんです。女の子でも電車や車のおもちゃで遊ぶ子もいるし、男の子でままごとが好きな子もいる。性別で遊び方を限定しないほうがいいと思います」
知育玩具コーナーではプレスクールで使っているタパニファームを発見。動物のフィギュアとお家がそれぞれ6個ずつあり、自由に積み上げて動物たちの住む家を考えるというもの。このおもちゃの遊び方にも子どもたちの個性が表れるようで、「ただ動物を並べるだけの子もいれば、お家の中に動物を入れる子もいて、その子なりのストーリーが頭の中にあるんです。そういうときはクリエイティブな脳が働いているので、妨げないで遠くから見守るのがいい。子どもが『どや!』って振り返ったときに『うん、うん』とうなずける位置で見守ってあげてください」
ベビー用品コーナーで中村さんが一目惚れしたのは「オリー&キャロル」の歯固め。水に濡れてもバクテリアの発生を抑える衛生的なデザインで、お風呂場の遊び道具としても使えます。ブロッコリーはブルーシーちゃん、オレンジはクレメンティーノちゃん、とそれぞれに名前が付いているところも愛着が湧くポイント。
「赤ちゃんがベビーカーに乗りながら噛み噛みしてる姿を想像すると、絶対に“映え”ますね」
さて、おもちゃの次は、子ども服のお店へ。子ども服のトップブランドとして業界を牽引する「ミキハウス」は、イギリスの老舗高級百貨店「ハロッズ」にも出店するほか、海外の主要都市に店舗を展開するグローバルブランドとして愛されています。
まず中村さんが向かったのは新生児コーナー。こちらではプレママ・プレパパセミナーを定期的に開催。子育てキャリアアドバイザーの吉馴真弓さんが身長50cm、体重3kgの赤ちゃん人形を使い、沐浴体験やおむつ替えの練習などをレクチャーしてくれます。
「かわいい~! 私が子育てした頃にもこんなんあったかな? 初めてママになる人には特に嬉しいサービスですね」と中村さんも人形を抱きかかえ、現在中学1年になる息子さんのおくるみ姿を思い返します。
「保護者のお母さんたちから『ミキハウスの靴がすごく良い!』と聞いていて。歩きやすくする“そり返し”があるんですよね?」と中村さん。吉馴さんがうなずきながらベビーシューズのコーナーへ案内してくれました。シューズのつま先部分を見せながら、「よちよち歩きの赤ちゃんってすり足なので、つまずかないように適度な“そり返し”をつけています」。
ミキハウスでは、赤ちゃんが靴に慣れるための練習用“プレシューズ”、よちよち歩きの赤ちゃんに正しい歩行をサポートする“ファーストシューズ”、正しい歩行をサポートしながら足の成長を促す“セカンドシューズ”と、成長段階に合わせた3種類のシューズを販売しています。
ベビーシューズはすべて国内生産。履きやすいデザインにこだわり、履き心地を左右するアッパーとソールの貼り合わせは熟練の職人による手作業で行われています。
ミキハウスの靴に対するこだわりに触れ、中村さんも「すぐ成長するからと大きめのサイズを選んでしまうと、履き心地が悪くて歩かなくなる場合もあるんです。だから、靴はジャストフィットするものを選ぶのが正解」と、靴選びの大切さを説きます。
また、「兄弟でも足の形や重心の掛け方が違うので、靴は“おふる”もやめたほうがいい。保育園で歩き方がおかしい子がいると、親御さんにお伝えして靴を買いに行ってもらうんです。変な癖がつくとなかなか直りませんからね。最初が肝心だと思います」
日本発祥の子ども用品ブランドとして人気を誇る「ファミリア」。創業者の一人である坂野惇子さんは、連続テレビ小説「べっぴんさん」のヒロインモデルにもなった人で、彼女とファミリアの沿革には、「皇太子妃美智子殿下ご懐妊に際し、お仕度を仰せつかる」という歴史も記されています。
また、神戸の女子高生の間では通学用のサブバッグにファミリアのデニムバッグを使うトレンドが生まれるなど、「関西人にとっては特にずっと憧れのブランドですよね」と中村さん。さっそく店内を覗いてみましょう。
ご自身の子育てでもファミリアを愛用していたという中村さん。中でも感動したのは、赤ちゃんの肌を刺激しないように肌着のタグや縫い目を外側に施していること。今では他のブランドでも見かけますが、ベビーブランドではファミリアが初の試みだったそうです。
大丸心斎橋店のファミリアは、世界に一つだけのオリジナルバッグを作る、カスタマイズバッグコーナーを常設している唯一のお店です。ファミリアのバッグは中村さんのまわりでも人気で、幼稚園受験を控えたお子さんたちは「ほぼ全員」、ファミリアのレッスンバッグを愛用しているのだとか。「みんな持っている柄が違うので、それぞれのお子さんの顔が浮かびます」と中村さん。
続いて「スヌーピーとコラボしてるんですか?」と中村さんが目をとめたのは、Friends Walk Togetherシリーズのトレーナー。スヌーピーのデザイナーであるチャールズ・M・シュルツ氏がファミリアのマスコットキャラクター・ファミちゃんを描く、レア度高めのアイテム。ファミリアの洋服は、基本大人用のサイズは作っていませんが、このシリーズは大人用のS・M・Lサイズがあるので、貴重な親子コーデが楽しめます。
気になるアイテムをチェックした後は、お店の入り口で迎えてくれるファミちゃんのフィギュアと記念撮影。「お子さんたちは通りがかると必ず立ち止まってぎゅっとします。みんなに愛されるキャラクターなんだなと思う瞬間ですね」とスタッフの皆さん。ファミちゃんと手をつないで、中村さんもちょっぴり童心に返ったかも!?
ミキハウス、ファミリアに続いてやってきたのは、1893年にフランスで誕生した子ども用肌着ブランド「PETIT BATEAU(プチバトー)」。デザインはシンプルでありながら遊び心に溢れていて、比較的若いパパママに支持されています。
「フランスの方はプチバトーを着て大きくなる人が多い」とスタッフの福谷優子さん。“新生児から924カ月まで親しまれるブランド”と表現されているように、大人サイズも取り揃えていて、「ボーダーのカットソーを息子とお揃いで着ていました。娘と親子コーデができるお店はいっぱいあるんですけど、男の子とお母さんって少ないんです」と、中村さん。
プチバトーといえば、肌着。その着心地の良さは“第二の肌”と呼ばれるほど。
「赤ちゃんのお腹はおっぱいを飲んだ後はポコッと出るし、おしっこやうんちをするとぺたんこになる。1日の中で腹囲はかなり変わります。プチバトーの肌着は細身でフィットするうえに、伸縮性があるから苦しくないんです」と中村さん。
福谷さんいわく、伸縮性があるのは「1×1リブ編み」という編み方を採用しているから。さらに、使用するコットン糸も繊維の長いものだけを厳選しているので、編みあがったニット生地は繊維がしっかりと絡み合い、洗濯しても型崩れしにくく、耐久性も抜群な生地になるそう。また、国際的な繊維安全基準である“エコテックス®スタンダード100”の認証も取得しています。
ヨットパーカは防風性と撥水性に優れたポリウレタン素材で、裏地にはブランドのアイコニックなミラレストライプの1×1リブ編みコットンを採用。ブランドの代名詞である“マリニエールボーダー”のプルオーバーと合わせれば、オシャレなマリンルックが完成します!
最後に、中村さんは気になるものがたくさんあると「STOKKE®(ストッケ)」へ。北欧・ノルウェー生まれのベビーブランドは、テーブルウェアからハイチェア、ベッドにいたるまで、数々のアイテムが「親子の距離を近づける」をコンセプトに人間工学に基づいてデザインされています。
ストッケの代名詞といえばトリップ トラップ。座板と足のせ板の位置を細かく調整できるハイチェアで、子どもの成長に合わせて常に正しい姿勢をサポートします。最近まで息子さんが使っていたという中村さんもこれを絶賛。
「食事のときに足の裏を床につけることはすごく大事。噛む力が15%も上がると言われているんです」
子どもの成長に合わせてカスタマイズできる椅子の展示コーナーにて。「これ、すごくないですか?」と中村さんがつかむのはマットとプレートが一体化したイージーピージーマット。
力強く引っ張ってもトレイから離れないので、子どもがプレートをひっくり返す心配もありません。
「赤ちゃんは視力がまだ弱いので、マットやプレートに色がついていると認識しやすいんですよね。器がピンクだと食べ物との色も違って、どれくらい残っているかも視覚的にわかりやすいですね」
ストッケ マイキャリア フロント&バックは人間工学に基づき、対面抱っこ、前向き抱っこ、おんぶ、すべてに適したデザインが施されているので、赤ちゃんが快適に過ごせるアイテム。また、「装着したときに肩甲骨が出るように作られているので、親御さんもすごく楽だと思います」と店長の穐丸純子さん。
対面抱っこのときは「赤ちゃんのおでこにキスができる高さで抱っこして、赤ちゃんの首が後ろに反らないように注意するのがいいんですよね」と中村さん。
「大人でも首を後ろに反らすと息がしにくいですよね? あの体勢で赤ちゃんが寝てしまうと口がぽかんと開いてしまって、口呼吸の癖がついてしまいます。口呼吸は集中力が欠けたり、ウイルスも入りやすかったりとデメリットが多い。抱っこの仕方ってすごく大事なんです」
人気のベビーカー、ストッケ エクスプローリーはシートの高さが調整可能な独自のハイシート設計で、ママやパパとの距離が近く、赤ちゃんに安心感を与えることができます。中村さんは実際に押してみて小回りのきき具合を実感。
「ママは靴によって身長が変わるので、ハンドルの角度が調節できるのもありがたい」とディテールにも感心していました。
知育玩具、子ども服、ベビー用品のお店を巡りながら、子どもの成長に合ったものを選ぶ大切さを教えてくれた中村さん。その横顔は熱心な教育者でもあり、愛情深い母親のようでもありました。
合同会社はぐみぃー代表。保育士、幼稚園教諭、児童英会話講師、ベビーマッサージ講師、リトミック講師など、幼児教育に携わって約25年。「子どもたちが自ら考えて行動し、表現できるような自由で楽しい教室を」という想いから、2014年に2歳からの知育プレスクール「はぐみぃー」を開校。知育カリキュラムのほか、色彩アートやリトミック、外国語、五感教育、体の使い方を知る体操なども専門講師によって指導。2018年、0~2歳児の心と体と脳を育てるための「はぐみぃー保育園」を開校。2020年には知育プレスクールに、生後2カ月から通えるベビートレーニングクラスも開講。
※ソーシャルディスタンスに配慮しながら、写真撮影時のみ、マスクをはずして取材を行いました。
写真/岡本佳樹 取材・文/福山嵩朗 編集/蔵均 WEBデザイン/唯木友裕(Thaichi) 制作・編集/河邊里奈(EDIT LIFE)、松尾仁(EDIT LIFE)
大阪の第一線で活躍する方々と一緒に、生活を豊かにする視点、もの選びのコツに迫ります。館内の注目アイテム、心斎橋のお気に入りスポットをご紹介。心地よい暮らし、大阪のシビックプライドを求めて。
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