Professional's Eyes
スタイルのある暮らし
大阪の第一線で活躍する方々と一緒に、生活を豊かにする視点、もの選びのコツに迫ります。館内の注目アイテム、心斎橋のお気に入りスポットをご紹介。心地よい暮らし、大阪のシビックプライドを求めて。
ARCHIVES大阪・阿倍野区を拠点に、子育て中のママや子どもたちが地域とゆるやかにつながるためのきっかけづくりを続けている林静香さん。今回は親子が楽しく暮らすためのヒントを探して、林さんが現役のママ目線で大丸心斎橋店を巡ります。
※2024年7月をもって閉店いたしました。
フリーペーパー「子育て情報ままちっち」や、子育て情報のポータルサイト「codomoto.jp」を通して、大阪・あべの周辺のローカルな子育て情報を発信し続けている林静香さん。2019年には、「子どもを遊ばせながらおしゃべりしたり、気軽に立ち寄れたりする、ちょっとホッとできる場所を」と、乳幼児親子が交流できる「ふらっとひろば ままちっち」も開設。1つ目の昭和町に続き、今年4月には西田辺、11月にはあべのキューズモール内にも場を開き、子育て中のママ・パパ&子どもたちを地域とゆるやかにつなぐ活動に注目が集まっています。
家庭では2児の母であり、職場でも子どもたちと触れ合う機会が多い林さん。「BorneLund(ボーネルンド)」は、今や思春期を迎えたお子さん2人の幼少期に訪れていただけでなく、現在もスタッフや友人たちの出産プレゼント、また運営する“ひろば”のおもちゃ探しのためにしばしば訪れているそうです。
「先日、来た時に見つけたんですけど、10年以上前に買って、今もうちにあるおもちゃが並んでいて」。
林さんが教えてくださったそのおもちゃは、アメリカのポピュラープレイシングス社が開発する頭脳パズル、クレイジー・キャンプ・パズル。1つ1つのピースをよくよく見れば、熊が侵入するテントに、蛇が鎮座する寝袋など、パニック必至、大胆すぎるユーモアについ笑ってしまいます。
「ピース自体が少ないので、簡単そうっておっしゃる方が多いんですけど…」。そう話すスタッフの八田裕紀子さんに続いて、「めちゃくちゃ難しい(笑)」と林さん。
「最近、夏休みなどはスタッフが子連れで出勤するんですけど、その時のためにこのおもちゃを持参して、ちょっとこれで遊んどいてって。でも難しいから、ある程度説明しないと離脱するっていう(苦笑)」。
「これもずっとありますよね?」と、林さんが指差したのは、赤青黄色などカラフルなワイヤーと木製ビーズが組み合わさった知育玩具。生後6カ月ごろから遊べるおもちゃで、「ボーネルンド」でもロングセラーの定番。
「幼稚園や保育園の先生とお話する機会も多くて、その中で“遊びが大事”というのはどの先生も言われる。今って、親もお勉強の方に意識を向けがちなんですけど、ただただ遊ぶ、“遊びきる”っていうことが実はすごく大事で。自分の子どもたちが成長して、子どもの友達を見ていても、しっかり遊んできた子は大丈夫!と感じられるところがあって。遊んでるだけ、その中にめっちゃ大事なこといっぱいあるで!って」と林さん。
“子どもは、あそびを通して生きるために必要なすべてを学ぶ”。そう考える「ボーネルンド」と林さんの活動は共鳴する部分がたくさんあって、ともに大阪の子どもたちを温かく見守る両親のようです。
子育て中のママたちに向けて、“当事者目線”の子育て情報を発信している林さん。いつもは自身が暮らすあべの周辺の情報が中心だけれど、もしも心斎橋版を作るなら、この「ベビー休憩室」も掲載候補に挙がるかも!?
「PETIT BATEAU」や「familiar」などのベビー&キッズショップが並ぶ本館7階のショッピングフロアを通り抜け、辿り着いた「ベビー休憩室」は景色が爽快! 東心斎橋の街並みを見晴らす開放感たっぷりの空間に、ミルク専用の給湯器や電子レンジ、テーブル付きのベビーチェアなどが揃っています。そして隣には、おむつ取替用ベッドや個室タイプの授乳室も。
「(子育てまっ只中だった)15年くらい前の授乳室は、たいていママたちが並んで、お隣が見えるオープンな感じだったんですよね。その時代をギリギリ見ていて(笑)」と林さん。
「今は子連れウェルカムな雰囲気になってきていますけど、それでもなお、子どもを連れて出歩くのは大変だと思うんです。泣いたらどうしよう…とか。でも、こういうスペースがあると、『おいで』って言ってもらえている感じがして安心するというか」。
本館1階案内所では、3歳以下のお子様へのベビーカーの貸し出しも。子育て中のママたちにもできるだけ快適にショッピングを楽しんでもらえるよう、工夫を続けています。
※2023年7月をもって閉店いたしました。
「去年は子どもが家でオンライン授業を受けていたこともあって、椅子置きの姿勢補正シートを買ったんです。こちらのものではないものを。お店が閉まっている時期だったので、ネットで何がいいかわからないままに買って。長時間座るとしんどいこともあって、やっぱりもうちょっと考えればよかったかな…って」。
コロナ禍での買い物にいささか後悔しているご様子の林さんが続いて訪れたのは、姿勢ケアのためのシートやチェアがそろう「Style(スタイル)」。カイロプラクティックの理論を応用し、独自開発されたアイテムが店頭に並び、実際にその使い心地を試すことができます。
「クッション性が優れていて、同時にお尻の痛みも軽減されるものでしたら…」と、スタッフの中村昌平さんがまずおすすめしてくれたのは、椅子置きのStyle PREMIUM DX。骨盤をまっすぐに立たせるために設計された独特の形状で、上部には低反発ウレタン、底部には高反発ウレタンと2種類のウレタンを採用し、やさしい座り心地と正しい姿勢を同時に叶えてくれるという人気アイテムです。
「私も長時間パソコン作業をしていて」という林さんに、仕事中はどんな椅子を?と聞いてみると、なんとも意外なお答え。「掘りごたつみたいな場所で座布団か、ベッドの上で枕を立てて。でも腰が痛くなるんですよ」と、お子様だけでなくご本人もお困りの様子。
「スタイルの椅子は、女性の意見を参考にして作っているんです。たとえば、一般的なソファは重たくて下が掃除しづらいとか。良かったら、こちらを持ち上げてください」。
中村さんのすすめで、Style Dr.CHAIR DXを持ち上げた林さん。その姿は、まるで発泡スチロールをひょい!と持ち上げたような軽やかさ。すぐさま、「めっちゃ軽い!」と驚きの声が上がります。「なので、お掃除するときも片手で持ち上げることができます」という中村さんの言葉に、「いいっ!」と太鼓判。家事を担うお母さんにとっても、すこぶる助かる1脚のようです。
家族のために毎日休みなく働いてくれているママたちに癒しを。続いて訪れた「フレーバーライフ」は、“自然体でいる時間”をコンセプトにプロダクト開発をおこなうナチュラルアロマブランド「アラレフア」初のコンセプトショップ。
ハワイ諸島で暮らす人々のライフスタイルやヨガの精神に通じる“自然体”、そのあり方を伝えるブランドらしく、ハワイ産ナチュラルオイル配合のハンド&ネイルクリームや、ハワイ諸島だけに生息するハーブ「ママキ」を使ったハーブティーなど、心身を癒してくれるアイテムが揃っています。
99%天然由来成分で作られているという「アラレフア」オリジナルのハンド&ネイルクリームを手に取り、「“自然派”という言葉に弱いタイプです」と笑う林さん。
「香水のような強い香りは苦手。これは香りもやわらかくてうれしいです」と手の甲になじませたのは、4種類ある香りのうち、2021年秋冬の新作となるアーバー。
ハワイの木陰をイメージしたフルーティー&グリーンな香りが、気持ちをリフレッシュさせてくれるクリームで、テクスチャーはサラリとして軽やか。
「使っていただくと水のようなテクスチャーに変わり、伸びも良くて。水分補給した感じの仕上がりになります」と、スタッフの西美里さん。
「店内のカフェでもお試しいただけます」と、西さんが続いて案内してくれたのはハーブティーのコーナー。ネイティブハワイアンの時代から、“心身をピュアにするハーブ”としてハワイ諸島で愛されるママキ。日本ではまだ珍しいこのハーブ100%のハワイアンハーブティーやブレンドティーなどが並びます。
「以前、出産祝いで嬉しかったものは?という声を集めたことがあったんです。大半は子どものためのものだけど、『ママ、おつかれ』と言ってプレゼントするものが結構喜ばれると。私自身も、せやな!と思って。このハーブティーは自分で買うにはちょっと贅沢かな…と思ってしまう。だけど、出産祝いのようにママたちに『おつかれ』とプレゼントするにはいいなって」と林さん。
子育て中のママたちにとっては、地元から足を伸ばして買い物へ出かけることさえひと仕事。せめて慌ただしい日々のひとときに、「アラレフア」のケアアイテムやハーブティーが活躍できますように。
「外食はめったにしないんです。子どもが生まれて、“人間は食べたものでできてる”って聞くと、どうも手が抜けない気がして」。
最近では、長年の定番料理である豚まんをスタッフの子どもたちと一緒に作ったという林さん。
「私自身、火が見たいし、子どもたちにも火を見て欲しい」と、コンロはIHではなくガス式。子育てや仕事に追われていても、しっかり台所に立ち、料理するお母さんである林さんと一緒に、続いては秀逸な調理用品が揃う「Real Kitchen(リアルキッチン)」へ。
計量カップにフライパン、包丁、電化製品まで、機能性とデザイン性を兼備した国内外問わずのキッチンアイテムが多数揃い、店内をめぐるだけでも発見の連続。料理好きでなくとも、使ってみたい!と心奪われる逸品に出会うことができます。
高校2年生の女の子と、中学2年生の男の子を持つ林さんに、「お子さんと一緒にお料理をされることはありますか?」とたずねたのはスタッフの﨑平景子さん。「やりたいと思っているところで」という林さんに、差し出したのは白いピーラー。
「ドイツ製でよく切れるんですけど、持ち手が小さめで握りやすく、お子様にもお使いいただきやすいと思います」と﨑平さん。実際に手にした林さんは、「めっちゃ軽い!」と即反応。
続いて、「鉄のフライパンはありますか?」と聞いたのは林さん。
「この前、卵焼き器を鉄製に変えたんです。毎回、使った後は洗って乾かして、油を塗るっていうひと手間はあるんですけど、長く使えるのがいいなって。フッ素コーティングのものって、使い勝手がいいからつい選んじゃいがちですけど、使い方によっては割とすぐ傷むんですよね」。
林さんの話に耳を傾けながら、﨑平さんが繰り出したのはビタクラフトのスーパー鉄シリーズ。
「鉄製なんですけど、窒化4層加工という独自仕様により錆びにくく、焼き入れや油ひきのメンテナンスも不要で、すごく使いやすいフライパンです。フライパンはこれだけしか使わないという方もおられるくらい、根強い人気の商品です」と﨑平さん。
フライパンを見直すきっかけは何だったのか? 林さんは、ふとご自身の頭によぎったその答えを教えてくれました。
「子どもが大きくなって、自分に余裕ができたからかもしれないですね。子どもが小さいころは鉄のフライパンが良いものだとわかっていても、日々の使いやすさ優先で購入することはなくて」。
長年、家族のために腕を振るう台所でも、環境が変われば使う道具もおのずと変わる。子育てが落ち着きつつある林さんのキッチンには、今後、鉄のフライパン以外にどんな道具が新入りするのかが気になります。
※2022年8月をもって閉店いたしました。
「うちは夫の両親が台湾出身なんです。だから結婚当時から台湾にはよく行っていて。同居している義母がときどき、魯肉飯とかビーフンを家で作ってくれるんです。私も小籠包をいっぺん家で作ったんですけど、3時間かかって10分で食べられて、もう作らん!って(笑)。小籠包は作るものではなく買うもんやって思いました」。
そんな食卓エピソードが飛び出したのは、最後の1軒が焼小籠包とビーフンのお店ゆえ。神戸 南京町にある人気店「YUNYUN(ユンユン)」の2号店で、こちらは多彩な飲食店が並ぶ「心斎橋フードホール」の一角にあります。
家族それぞれが好きなお店で好きな料理を購入して、おなじテーブルで味わうことができるフードホールならではのラフな雰囲気のもと、本店同様の名物、焼小籠包や焼ビーフンを楽しむことができます。
「外食をしない家ではあるけれど、やっぱり子どもが小さいころはショッピングモールのフードコートへ行くことはありました。ただ、一般的なフードコートは(全国規模で展開する大手)チェーン店が多い。それはそれでなじみがあっていいんですけど、親としてはたまには違うチョイスをしたいなって思うときもあるから。そう思うと、このフードホールはちょっと高級で、普段使いしないようなお店がある。それがいいなと思って」と林さん。
家庭料理とは異なり、その道のプロの料理人による1皿が味わえるのも「心斎橋フードホール」の魅力。なかでも「YUNYUN」は、中国料理界の最高位資格とされる資格、特級厨師を持つ汪シェフ監修のメニュー揃いで、どれも超一級のファーストフードと呼ぶべき逸品です。
料理人が大鍋を振るう、ライブ感たっぷりの厨房風景を見ながら、待つこと数分。林さんの元にできたて熱々の海鮮焼ビーフンと焼小籠包が到着しました。
焼小籠包を頬張らん!とする林さんに、「あ、気をつけてください! あぶない食べ物なんです」と冗談まじりに声を掛けたのはYUNYUNブランドマネージャーの金谷拓実さん。
「焼小籠包は食べ方を記した紙もお客様にお渡しするんですけど、難易度が高すぎるようで。みなさんたいてい、中のスープを飛ばされます(笑)」と金谷さん。
ある種、挑戦にも似た食体験も、家族揃えば、きっと楽しい!? 今日は1人で味わった林さん。次回は家族でおでかけできる休日に、再訪いただけますように。
一般社団法人 codomotoままちっち代表。2005年にフリーペーパー「子育て情報ままちっち」を創刊。スタッフ全員が子育て中のママだからこその当事者目線で、収集・発信される地域の子育て情報が人気に。2016年には地域密着の子育て情報ポータルサイト「codomoto.jp」を開設。大阪市地域子育て支援拠点事業の一環として、乳幼児親子が交流できる“ひろば”も運営。昭和町を皮切りに、2021年は西田辺とあべのキューズモール内にも新規開設。昨年より、子どもたちが地域の企業やお店を取材する「子ども記者」プロジェクトもスタート。
※ソーシャルディスタンスに配慮しながら、写真撮影時のみ、マスクをはずして取材を行いました。
写真/竹田俊吾 取材・文/村田恵里佳 編集/蔵均 WEBデザイン/唯木友裕(Thaichi) 制作・編集/河邊里奈(EDIT LIFE)、松尾仁(EDIT LIFE)
大阪の第一線で活躍する方々と一緒に、生活を豊かにする視点、もの選びのコツに迫ります。館内の注目アイテム、心斎橋のお気に入りスポットをご紹介。心地よい暮らし、大阪のシビックプライドを求めて。
ARCHIVESProfessional's Eyes Vol.35
Professional's Eyes Vol.34