Professional's Eyes
スタイルのある暮らし
大阪の第一線で活躍する方々と一緒に、生活を豊かにする視点、もの選びのコツに迫ります。館内の注目アイテム、心斎橋のお気に入りスポットをご紹介。心地よい暮らし、大阪のシビックプライドを求めて。
ARCHIVES毎回、大阪にゆかりのあるプロフェッショナルを招き、大丸心斎橋店のさまざまなショップを巡っていただく「PROFESSIONAL'S EYES」。今回のゲストには、プロレスラーであり、今年8年ぶりに活動を再開した大阪プロレスのゼウス社長が登場! 「日本一子どものファンが多い団体にしたい」というゼウスさんに、大人も子どもも楽しめる夏のあれこれを満喫してもらいました。
まず最初に訪れたのは、大丸心斎橋店本館8階にある「Artglorieux GALLERY OF OSAKA(アールグロリュー ギャラリー オブ オーサカ)」。ここは、ほぼ週替わりでさまざまな作家による展覧会が開催されています。
「美術館やギャラリーに行くのは、実は大好きなんですよ。2017年に京都国立博物館で国宝の特別展覧会があって観に行ったら、兜跋毘沙門天立像が展示されていて、それがすごかった。その像がいつもは京都の東寺にあると聞いてそちらにも観に行ったら、宝仏館にある千手観音立像がこれまたすごいんですよね」
楽しそうに展覧会のエピソードを話すゼウスさん。取材日の「アールグロリュー ギャラリー オブ オーサカ」では、『サッポロ未来展in OSAKA「大丸セレクション」』を開催していましたが、北海道の作家が描くカニやネコなどの絵に目を凝らします。
「こういう芸術を観るのは好きですね。考えるのは苦手なんですが(笑)、フィーリングで作品から何かを感じるのが好きです」
今回、ゼウスさんが訪れるということで、8月24日(水)から30日(火)まで開催される『紙の昆虫たち展』の作家である「紙技工房」の斉藤健輔さんが、ギャラリーまで足を運んでくれていました。
紙から生まれた昆虫の作品は、もともと健輔さんのお父様・斉藤卓治さんが小学生の夏休みの宿題をきっかけに始めたもの。教材をつくる会社に勤めていた健輔さんが、「父の個展をときどき手伝っていたのですが、お客さんがすごく喜んでいるのを見て、これは父ができなくなっても続けていくべきものだと思いました」と、作品づくりに携わるようになったのです。
「このカマキリ、紙で作ってるんですか? ちょっと触っていいですか? わー、すごい」
その精密な造りに感心しきりでカマキリの作品を見ていたゼウスさんですが、おもむろに「アゲハ蝶の作品はないですか?」と。いったいなぜ?
「うちの家のベランダにミカンの木があるんですね。そこにアゲハ蝶の卵がたくさん付いて、毎年たくさんのアゲハ蝶が孵化するんですよ。去年は1年で100羽近くの蝶が飛んでいき、卵からサナギ、成虫と1年中常にアゲハ蝶と暮らしている感覚です」とゼウスさん。
「せっかくだから、この場で何かつくりましょうか? 簡単なものならできるので」と手早くアリをつくりはじめた斉藤さん。作品はすべて実物大ということで、黒い紙を細かくハサミで切りはじめます。
ハサミで切ってできあがった“アリの開き”を、先端が丸くなった鉄の棒で押しながら頭やお尻の部分に丸みをつけていく斉藤さん。完成品を見たゼウスさんは……。
「こういうのを見ると、すごい技術を持ってらっしゃるなと感服しますね。何もないところから紙だけで昆虫をつくっているじゃないですか、本当にすごい技術ですよね」
「1日中昆虫や爬虫類などをつくっていますが、ストレスはないですね。大好きな仕事をしているんで」と言う斉藤さんに、「ロマンがありますね」とゼウスさんも共感している様子。
小さい頃は工作が好きで、粘土細工やプラモデルもよくつくっていたというゼウスさん。『紙の昆虫たち展』では、8月27日(土)と28日(日)にワークショップも開催、斉藤卓治さんと健輔さんが来場し、レクチャーを行う予定です。
紙でつくられた昆虫を見て、少年の頃を思い出した(?)ゼウスさん、次は子どもから大人まで、多くの人を熱狂させる作品を次々と世に出す「週刊少年ジャンプ」のグッズがそろう「JUMP SHOP(ジャンプショップ)」を訪れました。
「『ONE PIECE』も『DRAGON BALL』も『鬼滅の刃』も全部「週刊少年ジャンプ」なんですか? 名作だらけですね」と感心するゼウスさんを、店長の矢野翔子さんが案内してくれました。
『銀魂』コーナーでアイマスクを見つけたゼウスさん、「ああ、これ、博多に似たようなのありませんでしたっけ? えーっと…なんて言いましたっけ、ほら、せんべいとかでもある…」
「にわかせんべいですかね」とは矢野店長。ゼウスさんは、福岡市の郷土芸能・博多仁和加の面を思い起こしたようです。
さまざまな作品、バラエティ豊かなグッズが並ぶ店内を巡りながら、「矢野さんはやっぱりマンガがお好きなんですか?」と聞くゼウスさん。「大好きです。兄がいるんですが、『DRAGON BALL』が好きで、その影響を受けました」と矢野店長。
ゼウスさんも『DRAGON BALL』は愛読していたようですが、『DRAGON BALL超』は未読だそうです。
「だから、“超” に出てくるブロリーとか全然知らなかったんですよ。でも、10年ぐらい前にタンクトップで心斎橋を歩いていたら、『ブロリーみたいや!』って声かけられて、調べてみたら、こんなキャラおるんや!ってなって(笑)」。
新作映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』が6月に公開されて、またブームが再燃中。これを機会に続編に挑むのもいいかもしれませんね。
「『ゼウス、面白いから読んでみろ』って、曙さんに言われて読みはじめたんですよ」。
元横綱、プロレスラーにプッシュされたマンガは『ONE PIECE』。現在、単行本で100巻以上続いている大ヒットマンガです。
「70巻ぐらいまでしか読んでないんですよね。でもまだ続いているというのがロマンですよね」。
『ONE PIECE』は今年連載開始25周年。矢野店長は、「今年はめっちゃ盛り上がると思いますよ」と。
「途中までしか読んでないんですけど、白ひげが好きでした。ドンキホーテ・ドフラミンゴも見た目が華やか。ロロノア・ゾロはゾロでかっこいいですよね」。
『ONE PIECE』のキャラクターについて熱弁するゼウスさん。そのキャラクターの魅力に感嘆しますが、大阪プロレスも相当なキャラの宝庫では?
「そうなんですよ。『ONE PIECE』のキャラクターもすごいですけど、大阪プロレスもめちゃくちゃキャラが豊富なんですよ。というのも、うちはえべっさんとかビリーケン・キッドとかマスクマンが多いんで」
『ONE PIECE』のキャラクターそれぞれの缶バッジが並んでいるのを見たゼウスさん、ある構想がふつふつと湧き上がってきたようです。
「こういうのを見ていると、『大阪プロレスショップ』を作りたくなりますね。「JUMP SHOP」とは、ちょっとレベルが違いますけど(笑)。マジで大阪プロレス版缶バッジを作ろうかな」
取材終わりで、「参考用に」と『鬼滅の刃』の缶バッジを購入したゼウスさん。どうやらまんざら冗談でもなさそうで、「大阪プロレスショップ」オープンも、そう遠い日ではないのかもしれません。
世代を超えて愛される数々の名作のグッズを楽しんで、新たな夢も生まれたところで、そろそろお腹も空いてきたのでは? 次は、地下2階にある「韓国料理専門店チカチキン」を訪れました。
「百貨店の地下にフードコートがあるなんて初めて知りました」とゼウスさん。興味を引かれたのか、注文した料理ができあがるまでの時間、ぐるぐるとフードコートを巡ります。
「トリュフの専門店などもあって、ちょっと高級なフードコートなんですね。フカヒレを売っている店では、『贈り物ですか?』 と聞かれて。確かに贈り物にはいいなあと思いましたが、フカヒレを贈られてきた人はびっくりするでしょうね(笑)」。
「韓国料理専門店チカチキン」は店名の通り、韓国チキンが売りのお店ですが、夏にひんやりとおいしいビビン冷麺をいただくことにしました。
ビビン冷麺が到着したとたんに、「この麺は、そば粉ですか? どんぐり粉ですか?」とスタッフに聞くゼウスさん。ずいぶんと韓国料理に詳しそうですが、大阪・生野のコリアタウン近く出身ということで、韓国の食文化にも通じているようです。
「このビビン麺、めっちゃおいしい! 韓国にあるお店ですか?」と聞くゼウスさんに、「韓国にはないですね。大阪発のお店ですが、オーナーは韓国人です」と店長の宋旻奎さん。
最近、韓国ドラマにハマっているというゼウスさんは、2017年に韓国から日本に来た宋店長と韓国ドラマの話で盛り上がります。
「一番好きなのは、ちょっと前のドラマになりますが『梨泰院クラス』。あれは面白い。感動した。4回ぐらい観ましたが、毎回泣くんですよ。あれでパク・ソジュンが好きになって、彼のドラマはよく見ています」とゼウスさん。
最近のドラマでオススメはありますか? という問いに、宋店長は「『私たちのブルース』は面白いです。日常生活を描いたドラマですが、イ・ビョンホンなど有名な俳優も出てきます」。
「ドラマの中で、チャミスル飲みながらチキンとかサムギョプサルを食べているシーンを見ると、みんな食べたくなりますよね。生野のコリアタウンも今は人でいっぱいですけど、宋さんは将来どんな店をやりたいですか?」
ゼウスさんの問いかけに「いろいろな種類をそろえるマッコリの専門店をやりたいですね。大阪にはあまりないですから」と宋店長。将来の夢へのロマンが叶う日がくればいいですね。
※2024年8月をもって閉店いたしました。
好きな食べ物は韓国料理でもある焼肉と、意外にも(?)フルーツというゼウスさん。次はフルーツをふんだんに使ったスイーツが人気の地下1階「ときじくのかぐのこのみ」を訪れます。
「ときじくのかぐのこのみ」は、大阪の土佐堀店と大丸心斎橋店にしかないショップ。旬のフルーツや珍しいフルーツをたっぷり使ったケーキやスイーツを販売しています。
「あっ、これおいしそう!」
早速ショーケースに並ぶフルーツについて、店員さんにいろいろと質問するゼウスさん。さすがはフルーツ好きを公言するだけあって、サクランボやイチゴの種類についてもよくご存知です。
ショーケースをしばらく熱心にのぞいていたゼウスさんですが、夏の季節においしい丸ごとメロンゼリーをセレクト。別の場所に移動して食べてみました。
アンデスメロンをくりぬいた中に、メロンの果肉とジュレをたっぷりと詰め込んだ丸ごとメロンゼリー。一口食べたゼウスさんは、「メロンの果肉がたっぷり入ってますね。もっと濃厚な味かなと予想してましたが、意外にあっさりとしていて上品な味です」。
昔からフルーツが好きだったというゼウスさん。「メロンはもちろん、ミカンもリンゴもスイカもなんでも好きです」。
スイカの話が出たところで、ゼウスさんに夏休みの思い出について聞いてみました。
「夏休みって何してたんでしょうねえ… やっぱり両親や友だちと海に行ったことが思い出ですかね。若狭などによく行きました」
丸ごとメロンゼリーの贅沢な味を妻へのおみやげにしようと決めたゼウスさん。ふと思い出したように、「あっ、そういえば最近妻から言われてることを思い出した!」と。果たして!?
「社長に就任してからスーツ姿が多いでしょ? 妻からしょっちゅう新しい革靴を買えと言われているんですよ」
取材の日も、黒とオレンジの幾何学模様というおしゃれなスーツを着こなしていたゼウスさん、スーツに合う靴を探しに、心斎橋PARCO8階にある「ABC-MART(エービーシー・マート)」に向かいました。
スニーカーが数多く並ぶ中、スタッフの案内で革靴コーナーに向かったゼウスさん。早速、気になる一足を見つけたようです。
「これは何ていう靴ですか?」
ゼウスさんが注目したのは、イタリアのブランド「BENTER」のスリッポンです。
「イタリアのブランドらしく、つま先が長く、スタイリッシュなデザインになっています」というスタッフの言葉に、「自分の足の形には合わないかもしれないけど、デザインがいいので履いてみようかな」とゼウスさん。
「全然いけますね」と言いながら鏡に映る姿を見るゼウスさん。とてもきれいな靴のラインがスーツにお似合いです。
「靴って履き心地が一番大事。プロレスをやっていると、体をバチバチ痛めるので、履き心地の悪い靴を履くとすぐに足首や腰を痛めるんですよ。だから靴はすごく大事。運動靴でも動きやすさと軽さを重視していますね」。
そう言うゼウスさんに、「こちらは軽くてクッション性がよく、靴底に穴が空いていて通気性もいいモデルです」とスタッフが勧めてくれたのが、「アディダス」の「クライマクール」シリーズです。
「面白いですね。ちょっと履いてみましょうか。幅がめっちゃ広いです。かかとも広くて余っていますね。今までにない新しい履き心地で、普通のランニングシューズと全然違いますね」とゼウスさん。
続いてゼウスさんの目に留まったのが、「ニューバランス」のコーナー。
「スーツに『ニューバランス』を合わせていらっしゃる方もいらっしゃいますよね。スーツに合うモデルってあるんですか?」と聞くゼウスさんに、スタッフは「996を履かれる方が多いです」。
「これ楽や。軽い感じがするし履きやすい」
スーツスタイルにも合うスニーカーを見つけたゼウスさん。今回の夏の百貨店巡りではさまざまな発見があったようで、「日本一子どものファンが多い団体にしたい」という、これからの大阪プロレスの活動にもつながっていくかもしれません。
1982年大阪府生まれ。2006年大阪プロレスにてプロレスラーデビュー。2018年には全日本プロレスの第61代三冠ヘビー級王者に。2020年には全日本プロレスで史上3人目となるチャンピオンカーニバル全勝優勝を成し遂げる。2022年より大阪プロレスの代表取締役に就任。
※ソーシャルディスタンスに配慮しながら、写真撮影時のみ、マスクをはずして取材を行いました。
写真/岡本佳樹 取材・文/蔵均 編集/蔵均 WEBデザイン/唯木友裕(Thaichi) 制作・編集/河邊里奈(EDIT LIFE)、松尾仁(EDIT LIFE)
大阪の第一線で活躍する方々と一緒に、生活を豊かにする視点、もの選びのコツに迫ります。館内の注目アイテム、心斎橋のお気に入りスポットをご紹介。心地よい暮らし、大阪のシビックプライドを求めて。
ARCHIVESProfessional's Eyes Vol.44
Professional's Eyes Vol.43