Professional's Eyes
スタイルのある暮らし
大阪の第一線で活躍する方々と一緒に、生活を豊かにする視点、もの選びのコツに迫ります。館内の注目アイテム、心斎橋のお気に入りスポットをご紹介。心地よい暮らし、大阪のシビックプライドを求めて。
ARCHIVES大阪にゆかりのあるゲストを迎え、その人の視点で大丸心斎橋店を巡ってもらう「PROFESSIONAL‘S EYES」。今回は大阪のラジオ局・FM802のDJをはじめ、テレビやイベントで活躍中の大抜卓人さんが登場。日々の暮らしの中で、昨日よりちょっぴり今日が楽しくなるアイテムの数々と出会いました。
大抜さんはFM802で月曜日から木曜日の朝6時から11時まで、『on-air with TACTY IN THE MORNING』という番組を担当しています。朝3時にはもう起床、6時前には局入りするそうです。
「スタジオには30分前に入って、生放送しながら打ち合わせをするんです。新聞を読んで話の内容を考えたり、番組へのSNSを読んだり、番組の前半はかなりバタバタしているんですが、8時半ぐらいにいったん落ち着くんですよ」
この少し落ち着いたタイミングで、スタッフが日本茶を入れてくれるそうです。
「お茶を飲んだらホッとしますよね。放送は基本的にリスナーのみなさんの生活に合わせたいという自分なりの考えがあって、8時半から9時ぐらいになったら、主婦の方も子供を送り出して、掃除を終わらせてソファに座ってゆっくりしているやろなというのがあって、その時間帯は自分もゆっくりしようと心がけています」
毎朝、日本茶で少し落ち着きをもらうという大抜さん。まずは、創業寛政2年、200年以上の歴史を持つ日本茶の老舗「福寿園」を訪れました。店長の北ノ原由利子さんが試飲を勧めてくれます。
「今のおすすめは、気軽に手軽に早く入れられるティーバッグシリーズです。ティーバッグだとクオリティーが低いんじゃないのというお声もあるんですが、私どもは、袋入りでお出ししている茶葉とまったく同じものを使って、クオリティーを下げないようにしています。どうぞ好きなものをお選びください」と北ノ原店長。
「玉露 金閣」(10袋入・918円。以下すべて税込価格。)を選んだ大抜さん。お茶が入るのを待つ間に、興味深い話をしてくれました。
「少し甘みのある玉露が好きですね。お茶の中では烏龍茶はまったく飲まないんですよ。喉の脂が取れてしまうので発声にあんまりよくなくて…」
声を商売道具とする仕事なので喉が命。常にのど飴を舐め、家では壁紙が剥がれるぐらい加湿器をつけ続けているそうです。
「喉に脂がないと声が出にくいんですよ。ミュージシャンの中にはレコーディングの前にフライドチキンを食べたりして、脂を喉に入れる人もいるんですよ。打ち上げとかでもノンアルコール派のシンガーは、ウーロン茶を頼まないなんて人も。ラジオDJの僕にとっては日本茶はいいんですよ」
玉露が到着しました。
大抜さんは、ゆっくりと玉露を飲みます。
「おいしいですね。しっかり甘みもあって、舌の奥側に苦味が少し残りますが、あとは爽やか。玉露というとなんとなく重たいイメージがありましたが、すごくあっさりしています。でも味の輪郭がしっかりしていて。いいなあ、ホッとする。これが好きなんですよ。日本人のDNAじゃないですかね。」
海外に出かける人から“もっと上質な日本茶のティーバッグがあったらいいのに”という要望がたくさんあり、クオリティーの高いティーバッグが生まれたと説明する北野原店長に「ティーバッグは簡単でいいですね。何よりおいしいし。もう1種類飲んでみようかな」と大抜さん。
大抜さんが次に選んだのは玄米茶。一口飲んだ大抜さんは、「香りがすごいですねえ。玉露は特別な感じですけど、こちらは普段の生活に合う気がします」
「福寿園」のティーバッグの簡単さとおいしさをすっかり気に入った様子の大抜さん。毎朝のブレイクタイムに登場する日も近いかもしれません。
※2024年5月をもって閉店いたしました。
「よく知っている仲のいいアーティストが、このブランドに最近ハマっているというのを聞き、ここのシャンプーに注目していたんです。そんな時にギフトボックスをいただいた。それから愛用しています」
そう言って大抜さんが次に訪れたのは、「johnmastersorganics select(ジョンマスターオーガニック セレクト)」。1994年に誕生したオーガニックコスメの先駆けで、NYのヘアスタイリストだった創業者のジョン・マスターができるだけ化学的なものを取り除いたヘアケアアイテムをとエッセンシャルオイルをブレンドし始めたのをきっかけに生まれました。
「使っていると、髪質が健やかになったように思いますね。派手に泡が立つほうがいいという人にはなじみにくいかもしれませんが、ライフスタイルにこだわる人には、これは本当におすすめ。アーティストさんは、そういう人が多いですね」と大抜さん。
余計な泡立ちがしないオーガニックシャンプーについて、店長の前田さんは次のように説明をしてくれました。
「そうですね。どこのメーカーもそうですが、やっぱりいろんなものを削いでますので、泡立ちが少なく、きしみとかも出るんですよ。そのかわり栄養はちゃんと頭皮に入るんですけど。オーガニックシャンプーが苦手な方は、まずヴィーガンシャンプーから試してみてもいいですね」
「ヴィーガンシャンプー?」
大抜さんの疑問に応えて、前田店長は続けます。
「この茶色いボトルのシャンプーは日本人の繊細な髪質に合わせてつくられたヴィーガンシャンプーです。髪にやさしいヤシ油由来のアミノ酸系洗浄成分に、泡立ち・泡持ちをサポートする自然由来成分を配合しています」
ふだんは大丸心斎橋店に化粧水をよく買いに来るという大抜さん。
「最近、反町隆史さんと松嶋菜々子さんご夫婦が出演するCMに影響されて(笑)、スキンケアを始めました。化粧水と乳液とエンパワリングクリームの3つを塗っています」
肌質を上げるためにスキンケアを始めたという大抜さんに、前田店長は次のステップとして“美髪”を勧めます。
「最近は、“美髪”という視点から、若い人を中心に頭皮用の化粧水や美容液の人気が高まってきています。お顔のスキンケアといっしょで、頭皮に水分を与えるんです。化粧水、美容液、乳液の3ステップが理想ですね」
「へえ、もう今は顔だけじゃなくて髪までなんだ。最近、顔のスキンケアはちゃんとやりだしてるんですが、これは次のステップですね」と大抜さん。
「1枚の皮でつながっていますので、お顔のハリのケアをするならスカルプケアも一緒にやってみるのがおすすめですよ」と前田店長。
「そういうことですよね。でも大事ですよねスキンケアは。10年後に印象が変わりそうですもんね」
テレビ出演も多い大抜さんですから、なおさらお肌の手入れは必要。これからはお顔に加え、頭皮のスキンケアも重要かもしれませんね。
※2024年7月をもって閉店いたしました。
ラジオのDJ、テレビやイベントの司会にと、大忙しの大抜さん。日々の仕事に欠かせないものが筆記具のようです。
「基本的に、番組の進行表は僕が書くことが多くて、手書きをしたりします。台本で読み間違えたらあかんところにはペンでラインを引くので、イベント系の原稿は線がびっしりですね。だから、僕の仕事は絶対に筆記用具がないとダメで、ボールペンを使うことが多いです」
それではと、日常の仕事シーンをより快適にしてくれる筆記具を探しに、海外の万年筆やボールペンがずらりと並ぶ「心斎橋筆記具倶楽部」を訪れました。
ショーケースを覗きこみながら、まずはフランスのブランド「WATERMAN(ウォーターマン)」のボールペンに目が留まった大抜さん。
「番組を一緒にする人に筆記具を贈ることも多いんですよ。筆記用具ってすごく大事で、自分で使ってみてよかったら、メモを添えてお贈りする。『ウォーターマン』はやっぱりおしゃれな感じがして、ギフトにもいいですよね」
ショーケースの中に並ぶ『ウォーターマン』のボールペンのうち、「人気商品」とPOPがついたカレン・デラックス ボールペン ブラック&シルバーGTを試し書きすることに。
「今、置いた瞬間にスッと走りました。すごい。スッススッスーとペンが走ります!」
その書き心地に驚いた様子の大抜さん。さらに「これ、めっちゃ色のバランスがいいですね」と手に取ったのがイギリスのブランド「PARKER(パーカー)」のアーバン マットブラックGTボールペンです。
「持った感じの重さがちょうどいいですね。テレビもラジオも、本番前に打ち合わせが多いんで、そういうときは、こういうちゃんとしたペンを筆箱から出したらかっこいいですよね。DJの大先輩・マーキーさんは、鉛筆を鉛筆削りで削りながら打ち合わせしてはりますけど(笑)」
いいものを持っていると仕事のやる気も違ってくると言う大抜さんに、スタッフが勧めたのがイタリアのブランド「VISCONTI(ヴィスコンティ)」のヴァン・ゴッホコレクションのボールペンです。
「ゴッホの絵画をモチーフにしてカラーリングしています。独自の技術を駆使して軸を18面体にカットしています。よかったら書いてみてください。インクがすごく滑らかなので」とスタッフ。
「これびっくりしますよ。浮くような走り具合です。えっ、これどうなってるの!?」と大抜さん。
インクの質と18面にカットされた軸によって、持ったときにフィット感があって滑りにくいというスタッフの説明に、「いいペンを持つと字をきれいに書こうと思いますよね。生き方が丁寧になって、それがいい」と大抜さん。
書くときに少し気分が良くなるペン。1本は持っていたいものです。
「NYにいる頃はMoMA(ニューヨーク近代美術館)やメトロポリタン美術館が好きでよく行きました」
高校卒業後、4年半アメリカに留学していた大抜さんは、NYでの生活も長かったのですが、2年ほど住んでいたニューハンプシャー州では、まわりに日本人はほとんどいなかったそうです。
「衝撃的だったのは、アメリカ生活初日にマクドナルドに入って列に並んでいたら、店員が『どこからきた?』と聞くから『JAPANだ』と答えると『それはいったいどこにあるんだ? ほんまもののアジア人を見たのは、ジャッキー・チェン以来だよ!』と言われて(笑)」
多くの日本人やアジア人が生活するNY。個性を大切に自分らしく生きることが求められる街で得た刺激は数多く、今につながる宝物とか。この街を代表する美術館「MoMA」のキュレーターがセレクトしたアイテムが並ぶのが「MoMA Design Store(モマ デザインストア)」です。
「いろんなものがあってワクワクするなあ」と店内を見て回る大抜さん。まず最初に「うわー、このメタリック感、すごい!」と手に取ったのが、紙でできたロブスターです。
「折ってつなげるだけでできるペーパークラフトです。うちの器用なスタッフは30分ほどで組み立てました。おなかに引っ掛けるための穴が空いているので、壁に飾っていただいても」とスタッフの家村百合奈さん。
「僕がNYで生活していたのは1990年代ですが、その頃はまだMoMAでは日本人アーティストの作品は少なかったかなあ。草間彌生さんの作品はありましたけど…」
草間彌生、奈良美智など日本人アーティストの作品やグッズが並ぶコーナーで大抜さんがポツリ。
「奈良美智さんのグッズでは、雑誌で奈良さんの特集が組まれてから、このランプは人気がありますね」と家村さん。
さらに、草間彌生の作品の上に展示されていた「Cambell」のトマトスープ缶のネオンサインを見た大抜さんは…。
「やっぱりMoMAというと、アンディ・ウォーホルなどアメリカの現代作家がイメージされますよね。ウォーホルはとても好きで、2022年に京都市京セラ美術館で開催された展覧会『ANDY WARHOL KYOTO/アンディ・ウォーホル・キョウト』も見に行きました」
店内所狭しと並ぶさまざまなジャンルのアイテムに目移りしている大抜さん。オーディオやスピーカー、香港製のバックパック、「スペースインベーダー」があしらわれた時計など、次々と手に取っていきます。
「『スペースインベーダー』は世界的に影響を与えたということでMoMAのコレクションに収蔵されていて、この時計も扱うようになりました。海外から訪れた若い男性がよく買っていかれますよ」と家村さん。
最後に、ルネ・マグリットの生誕125周年を記念して製作され、マグリットの作品に登場するパイプや雲などにインスパイアされたデザインのサングラスをかけてみました。
「ちょっと、NYにのさばる暗黒社会のアジア人風ですね(笑)」
いろいろなコーナーを巡って、すっかり満喫した様子の大抜さん。
「ワクワクします。色合いも日本のものとは違うし、こんなのあったらいいなと思える、日常が楽しくなるものばかりですね」
「とにかく1回、これを覗いてみてください!ほんまに全然景色が変わるので。だまされたと思って見てみてください!」
大抜さんが前のめりで勧めてくれたのは、世界的なカメラブランド「Leica ライカ」の双眼鏡。祇園にある「ライカ京都店」で初めて覗いてみたときに衝撃を受けたそうです。
「不思議なんですけど肉眼で見るよりもきれいで、日常が写真集みたいになる。これはすごいですよ。祇園の町並みをこれで見たら『うっそー』ってなって(笑)。」
出会ったときの衝撃を語る大抜さんに、店長の福森昭彦さんは、「視界がクリアで明るいので、ものが立体的に見えて、人間の目で見るよりもきれいに見えます」
「ライカ」のレンズを通して見る衝撃の光景を、どういう場面で使ったらいいか考えたという大抜さん。「ライブの時かなと思って」と言えば、「宝塚の観劇でご利用されている方も多いですね」と福森店長。「あっ、やっぱり、そうですか」と返す大抜さんに、「あとはお馬さんを見られる方も多いです」と福森店長。
「ライカ」は元々、光学機器のメーカーなのでレンズは高性能。実は、カメラよりも先に双眼鏡が商品として世に出たのだと福森店長は解説してくれます。
「いつもお店で、『ちょっとだけ見させてもらっていいですか』と覗かせてもらっているんですが(笑)。絶対いつか買おうと思ってるんですけどね」と大抜さん。「最初にご覧になられたのはいつなんですか?」という福森店長の質問に、「もう7年前ぐらいになります。だいぶ悩んでますね(笑)」
双眼鏡もいいですが、「ライカ」といえばやはりカメラ。大抜さんと親交の深いアーティストたちの中でも愛用している人が多いようです。
「常に持ち歩いていて、ライブのときなどに、バンドメンバーの写真を『ライカ』で撮ってる方もいますね」
そう言いながら、大抜さんが気になって手に取ったカメラはライカQ3。
「オートフォーカスで画角が28mm、立体感とかボケ感が出しやすいカメラです。日常が非日常に感じられますよ」と福森店長。
ファインダーを覗きながら、「すっごい。ほんまに非日常の世界!何を撮っても写真集みたいに仕上がるので楽しくなるんだろうな」と大抜さん。
「双眼鏡もそうなんですけど、ものの見え方が人間の目で見るよりも鮮やかで、なおかつキリッとクリアに見えます。レンズが明るいと、ピントを合わせたところと合わせていないところの落差が出て、いい具合にボケるんですね」
福森店長の商品説明を聞きながら、「もう1回最後にこれだけ見て帰ります」とライカ ノクティビット10×42を覗き込む大抜さん。しばし百貨店内の絶景を楽しんでいました。
今回、あらためて百貨店を巡ってみて、新しい"好き"との出会いがあったという大抜さん。
「何気ない毎日を当たり前に過ごすことはできるんですけど、なにか一つ楽しいことがあればいいなと。それは僕らがやっている放送にも通じていて、毎日同じテンションでやるのではなくて、いつも聞いている音楽がちょっと違った感じに聞こえて、朝から元気になってもらえたら嬉しいです。日本茶、シャンプー、ボールペンなどは毎日使うものですけど、ちょっと気分を変えられるものが僕はとても好きで、百貨店はその宝庫ですね」
1974年大阪府生まれ。米Franklin Pierce Universityマスコミュニケーション学部ラジオ学科卒業。帰国後、デザイン会社勤務、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの専属MCを経て、2001年にFM802の番組リポーターとしてデビュー。現在月曜〜木曜の朝の番組『on-air with TACTY IN THE MORNING』を担当。そのほか、読売テレビの『キューン!』のメインMCのほか、『ビーチカフェ』、NHK『ほっと関西』のレポーター、奈良テレビ『ゆうドキッ!』の司会、イベントのMCなどで幅広く活躍している。
写真/岡本佳樹 取材・文・編集/蔵均 WEBデザイン/唯木友裕(Thaichi) 編集・プロデュース/河邊里奈(EDIT LIFE)、松尾仁(EDIT LIFE)
大阪の第一線で活躍する方々と一緒に、生活を豊かにする視点、もの選びのコツに迫ります。館内の注目アイテム、心斎橋のお気に入りスポットをご紹介。心地よい暮らし、大阪のシビックプライドを求めて。
ARCHIVESProfessional's Eyes Vol.61
Professional's Eyes Vol.60