Professional's Eyes
スタイルのある暮らし
大阪の第一線で活躍する方々と一緒に、生活を豊かにする視点、もの選びのコツに迫ります。館内の注目アイテム、心斎橋のお気に入りスポットをご紹介。心地よい暮らし、大阪のシビックプライドを求めて。
ARCHIVES大阪にゆかりのあるゲストを迎えて大丸心斎橋店を巡ってもらう「PROFESSIONAL‘S EYES」。今回は、雑誌やテレビなどでグルメライターとして活躍する西村円香さんが登場。普段から大丸心斎橋店はよく利用するという西村さんに、これから秋にかけて、ますます充実するグルメやスイーツを食べ歩いてもらいました。
昔から百貨店が好きで、仕事柄、私生活でもよく足を運ぶという西村さん。
「バイヤーさんが目利きしたものがそろっているし、新しいもの話題のものも取り入れてくれてるし、1カ所でこんなにいろんなものが見れるのは楽しい」
中でも大丸心斎橋店は、実家が奈良なので昔からよく家族で来ていたそうで、最近も、「TUMI」の蛍光色のキャリーケースを買いに来たとのこと。
モノトーンのイメージが強い「TUMI」の蛍光色とは意外ですが、「派手な色合いのものが好きで、今日の時計やリングも蛍光イエロー。メガネは『XIT(エックスアイティー)』のもので、この色合いは探していたけどなかなかなくて、やっと見つけました」と西村さん。
スーツケースだけでなく、もちろん食べるために大丸心斎橋店をよく利用しているという西村さん。
「地下2階の『魚くみ』の魚がおいしくて、よく買って帰ります。あと、ちょっとお昼ごはんを食べそびれたときなどは心斎橋フードホールをよく利用しますね。お笑いが好きなので難波に来ることが多いのですが、舞台を見る前に、ちょっとお酒を一杯ひっかけたりも」
そんな西村さん、大丸心斎橋店本館7階にある「TUFFE TERRACE EAT(トゥッフェ テラス イート)」も何回か訪れたことがあるようです。
「両親と、妹家族と、うちの家族が一緒に大丸心斎橋店に来たときは、大人数なので、席数がたっぷりあるこの店によく来ます。今まで屋内の席でしか食べたことがなくてテラス席は初めて。気持ちいいですよね。」
小学6年生の長男をはじめ、3人の息子さんを持つ西村さん。「ポケモンセンター」など、家族で大丸心斎橋店を訪れることも多いそうですが、今回はお一人で、テラス席限定メニューのベーシックバーベキュープランを味わっていただくことにしました。まずは前菜として出てきた枝豆ペペロンチーノと野菜スティックを食べる西村さん。
「野菜スティックに付いているオリーブのディップは、ワインが欲しくなりますね」
お酒も大好きだという西村さん。ベーシックバーベキュープランは、ビール、ワイン、ハイボール、焼酎、カクテル50種類以上が90分飲み放題なので、お酒好きも満足できるはず。本日は車で来店の西村さんは、ノンアルコールのパッションフルーツソーダを注文しました。
コンロで焼く肉は、牛ロース、鶏もも肉、豚トロ、牛タンとソーセージ。いつもよく食べる肉は? という質問に西村さん、「子どもたちがみんなタンを好きなので、焼肉屋に行っても、最初にタンだけ8人前ぐらい頼んで、その後ももう無限(笑)」
肉が焼き上がってきたので、まずは牛タンからいただきます。用意されたソースは2種類。タマネギとリンゴが入った醤油ベースのバーベキューソースと、トマトとハーブなどをオイルベースでさっぱり仕上げたソース。
「ソースがすごくおいしい! バーベキューソースは少し甘さがあって。サルサ風のソースは、お肉をいくらでも食べれそうなぐらい爽やかで。マネしたいぐらいおいしいです」と西村さん。
本格的なアウトドアでバーベキューをするというよりは、グランピングなどに行ってお肉を食べることが多いという西村さん。
「テントを張ったりするのは大変なので(笑)、整っているところで食べるのがよくて、百貨店の中のこんなステキなところでバーベキューできるなんて最高ですね」
テラス席は、2名から約30名までの利用が可能で、テラスを貸し切って、会社の集まりや同窓会などの利用もあるそう。
「これからの季節は気持ちいいでしょうね。それから、ここのチーズケーキがとてもおいしいので、こちらもぜひ食べていただきたいです」と西村さん。
どうやら口の中が甘くなってきたようなので、隣りのタルト専門店に向かうことにしました。
「この店は、今は心斎橋PARCOになっている北館にあった頃からよく来ています」
そう言って西村さんが訪れたのは、「Délices tarte&café(デリス タルト アンド カフェ)」。季節ごとの色とりどりのフルーツを使ったタルトが常時10種類以上そろう専門店です。
仕事上もスイーツに触れる機会が多い西村さんに、「デリス タルト アンド カフェ」のタルトの特徴について聞いてみました。
「フルーツを売りにしているタルトの店も多いですけど、ここほどどっさりと乗せている所はあまりない。今は果物の値も張って個人店でここまでやるのはなかなか難しいので、フルーツ好きにはとてもいいお店だなと思います」
数ある種類の中から、まずは季節のものとして、イチジクのタルトをいただくことにしました。
「イチジクの量がすごい! これは半個分ぐらい使っているんですか?」とスタッフに質問した西村さん。「1個半ぐらい使っています」というスタッフの言葉にさらにびっくり。
イチジクは、福岡県産のブランドイチジク『とよみつひめ』を使用。フォークを刺しひと切れ口にした西村さんは、「甘みが強くて、すごくジューシーです。下のタルト生地がそれほど甘くないから、フルーツの甘みとの組み合わせがちょうどいいですね。もっと焼き込んで固さがあるタルト生地も多いですが、ここのはポロポロっといい感じで崩れて、フルーツの水分となじんでくれるからいい」
満足そうにイチジクのタルトを食べながら、「ここのタルトビュッフェもお値打ち感があるんですよね」とぽろり。
西村さんがいうように、大阪に数店舗ある「デリス タルト アンド カフェデリス」の中でも、セルフサービスではなく、着席でのビュッフェを行っているのは大丸心斎橋店のみ。なかなか予約が取れないほどの人気となっています。
続いて、最近人気上昇中のシャインマスカットのタルトをいただきます。
「うわー、癒されますね。森の中のホテルなどで香ってきそう」
「シャインマスカットは、クリームとのなじみがすごくよくて、一緒に食べたときに三位一体感がありますね。イチジクはそれだけ食べても存在感がありますが、これは、タルトの生地とクリームと合わさってバランスがいい」
焼き菓子好き、フルーツ好きの西村さんを大満足させるタルトだったようです。
「大丸心斎橋店に来たら、『マリベル』に行きたくなります。いつもお客様でいっぱいなので、子どもたちを『ポケモンセンター』に送り出してから(笑)、整理券を持って外のソファで待ってます」
そう言って西村さんが次に訪れたのは、「MARIEBELLE THE LOUNGE(マリベル・ザ・ラウンジ)」。カカオの生産地、ホンジュラス出身の女性オーナー、マリベル・リーバマンさんがニューヨークで立ち上げたチョコレートショップ。ニューヨーク本店以外には、京都と大阪にしか店がない希少なショップです。
店内でも、ひときわ存在感を放つ、背が高くて美しい曲線を描く背もたれがあるアンティークのポーターズチェアに座った西村さん。
「この椅子には初めて座るので感激です。ここは座りたいと狙っている人が多いはずですよね。こないだ来たときも、ちょっとエッジの効いたかわいい衣装の女の子が座っていて、ステキな光景だなあと見とれてました」
ポーターズチェアに座ってうっとりする西村さんに店長の佐藤大介さんが、何やら大事そうに抱えたボックスを恭しく差し出しました。
「こちら、イタリアンレザーで仕上げたジュエリーボックスとなっております。中には繊細な絵が描かれたアートガナッシュが入っていますので、お好きなものを選んでください」
「いつもケーキを頼むことが多かったので、このボックスは見たことがなかったです。うわーどれもステキで悩みますよね。はー、ため息が出ちゃいます…これはみなさんテンション上がりますよね?」と興奮気味の西村さんに、佐藤さんは、「みなさん写真をお撮りになります。『マリベル』は、おいしさはもちろん大切にしていますが、ボックスを開けた時に幸せを感じてもらうこともテーマにしていて、ジュエリーボックスはまさしくその象徴。それぞれの絵柄にストーリーもあります」
全てのガナッシュには、「EARTH」、「CHILD‘S DREAM」などタイトルとポエムが付けられ、その世界観を膨らませてくれます。ヘーゼルナッツ、シャンパンなどベースとなるチョコの味もさまざま。
「ミントなんかは朝摘みのミントをミルクに漬け込むところから始めます」という佐藤店長の言葉に、「へー、そうなんですね」と西村さん、目をキラキラさせながらテンションが上がりっぱなしです。
20種類以上あるアートガナッシの中から、キャラメル味の「TRAVELING FROM KYOTO TO NEW YORK」とミルクチョコレートの「GIRL WITH BAROONS」、を選んで食べた西村さん。
「キャラメル味のチョコは、素材のよさが引き立つ感じで、シンプルだけど味わい深い。ミルクチョコレートは、ミルクの香りと軽やかさがあって、口の中の余韻がすごい。飲み込むのがもったいないぐらいミルクのいい甘さが広がって、ほのかなビターさが追っかけてきてすごくおいしい。チョコレートローズティーとすごく合いますね」。
ふだん「マリベル」を訪れるときも、チョコレートローズティーを注文することが多いという西村さん。
「バラの香りとチョコレートの香りって、合わせるのが難しそうなのに、すごく調和がとれたホッとするおいしさ。チョコレートの味をジャマしないし。いつもこれを頼んでいます。ティーポットもかわいいから好きなんですよね」
紅茶を飲んで少し落ち着いたところで、店内の販売コーナーも見て回る西村さん。
「バレンタインのときなど、よく買わせていただいています。ガナッシュをボックスに入れて。箱がかわいいので贈り物にはとてもいい」
店内を見てまわりながら、「あっ! このハート型のボックス! いつも誰か差し入れとかでくれへんかなと思っていて(笑)。めっちゃかわいいですよね」と西村さん。
そのほか、「マリベル」がソーホーにオープンした2000年のニューヨークをジミー大西氏が描いた2024年限定ボックスもあり、贈りたくなるチョコレートはいっぱい。
「パッケージがかわいいと、食べた後も使いたくなるので喜ばれますよね」
最後に、さまざまなレストランが多彩にそろう大丸心斎橋店本館10階にある「お茶屋バー 近江榮」を訪れました。
「10階はよく来ているのですが、気になりつつもここだけは来たことがなかったんです。中は、こんな感じだったんですね。ステキな空間ですね」
カクテルが好きで、ふだんは家の近所のバーにもよく足を運ぶという西村さん。
「マンガが好きで、『バーテンダー』というマンガに出てくるカクテルがふと飲みたくなって、バーで注文したりします。あとは、バーテンダーさんにまかせて作ってもらうことが多いですね。晩ごはんのあと、今これを食べてきたから、さっぱりさせてくださいとか、デザートっぽいカクテルが欲しいとかお願いして」
残念ながら今日は車ということで、抹茶パフェをオーダーします。
バーテンドレスの松浦江里奈さんが、抹茶アイスなどをシャンパングラスに入れながらパフェをこしらえてくれます。
「こちらが抹茶メインのパフェになってまして。『心茶榮〜きよさえ〜』と言います。中に抹茶アイスと抹茶ブラウニーが入っていて、ちょっと甘酸っぱい味となっております」
「うわーかわいい! パフェには夢が詰まってますよね」と思わず名言が飛び出した西村さん。まずは団子をパクっ。そのあとは、ひとさじひとさじ味わいながら食べていきます。
「早く抹茶ブラウニーに行きつきたいんですけど、そこまでに魅力的なものがたくさん乗っていて、なかなか行きつかない(笑)」
ここで、西村さんに、最近のパフェ事情を聞いてみました。
「いっとき、ビジュアル重視のパフェがわーっと出てきて、今までそれほどパフェを食べてなかった人もときめいて、みたいなブームがありましたよね。イチゴが張りついたものとか、すごく食べにくいけど(笑)美しいパフェが登場したり。そのブームは地味に続いていて、今でも結構男性が一人で食べにきてるのも見たりしますね」
ようやくブラウニーまで行きついた西村さん。
「お抹茶のパフェは、ふだんあまり食べないので、新鮮でおいしいですね。しっとりしたブラウニーの甘さと抹茶アイスのほろ苦さがちょうど合って、満足度が高いパフェですね」
抹茶アイスは「祇園辻利」のものを使用していると聞き、「『祇園辻利』さんは人気があって京都の店もすごく並ぶので、ここで並ばず食べられるのはいいですね」
「お茶屋バー 近江榮」では、数カ月前からごはんものを出し始めています。
「出汁巻きは、注文が通ってから隣の『天ぷら 圓堂』の板前が焼いて熱々のものを召し上がってもらえます」という松浦さんの言葉に、「それはすごくいい! とうもろこしご飯のおにぎりとかも気になるし。ここは知ってたら自慢できる店です」と西村さん。
食事前、予約より早く着いたので一杯だけ飲んで、というお客様がいたり、食後にちょっとお茶というお客様もいるそう。
「百貨店の中のバーというのは珍しいかもしれませんね。買い物したあとに、こんな空間でお酒をいただけるのはとてもいいです。ボトルキープもできますしね(笑)」
松浦さんは、ここの店舗で約2年前から働いていて、その前は京都・祇園の『天ぷら 圓堂』で仲居をしていたそうです。
「えー! 仲居さんからバーテンドレスに! ガラッと変わりましたね!」と驚く西村さんに、「まあお酒飲むのも好きだったんで、がんばろうかなと! こうやって対面でお客様と話をさせていただくのは楽しくて。元々人見知りで、ようやくこうやって話せるようになりました(笑)。大阪の人はいい方ばかりです」
そう話す松浦さんを、母のごとく温かい目で見る西村さん。グルメライターという職業柄、おいしいものを通して人とコミュニケーションを取るのが上手なだけに、百貨店のフードフロアや飲食店は、その能力をいかんなく発揮できる場所なのかもしれません。
奈良県出身、神戸市在住。女性誌の編集部、ライフスタイル誌の編集を経て、フライーランスのエディター&ライターに。雑誌を中心に、WEB媒体や企業広報誌などでグルメ、スイーツ、芸能人インタビューなどの執筆をしている。プライベートでは3人の男の子の母。お笑いが大好きで、推しは空気階段。昨年クリスマスイブのM-1グランプリ敗者復活戦では、客席審査員を遂行した。
写真/竹田俊吾 取材・文・編集/蔵均 WEBデザイン/唯木友裕(Thaichi) 編集・プロデュース/河邊里奈(EDIT LIFE)、松尾仁(EDIT LIFE)
大阪の第一線で活躍する方々と一緒に、生活を豊かにする視点、もの選びのコツに迫ります。館内の注目アイテム、心斎橋のお気に入りスポットをご紹介。心地よい暮らし、大阪のシビックプライドを求めて。
ARCHIVESProfessional's Eyes Vol.66
Professional's Eyes Vol.65