WATCHES
FEATURE
時計売場が、より広く、
見やすく、魅力的に。
NEW OPEN REPORT
大丸心斎橋店本館6階の時計売場が、2024年秋にリニューアル。フロア面積も広くなり、ゆったりとした空間でじっくり時計を見ることができるようになりました。マニファクチュールの技術が光るブランドの直営ブティックがオープン、日本初の提案型コンセプトショップ登場など、トピックスは盛りだくさん。その見どころを、大丸心斎橋店で長く時計バイヤーを務める松本健司が案内します。
※この記事は2025年1月に大丸松坂屋お得意様ゴールド会員様限定のサイト「コネスリーニュ」で公開した記事を再編集して掲載しています。
約1.6倍の広さになった時計売場。
2024年12月4日にニューショップがすべてオープンし、生まれ変わった大丸心斎橋店本館6階の時計売場。従来に比べて広々として、より商品が見やすくなった印象があります。今回のリニューアルはいつ頃から計画があったのか? 松本に聞いてみると…。
「構想段階からいうと、2年以上前からですね。売場面積は約1.6倍になりました。これだけ時計があると迫力が出てきますよね」

宝飾・時計に携わって36年のキャリア。
松本は、入社以来、大丸心斎橋店の宝飾・時計の担当をして36年。専門的なキャリアを築いてきています。
「もうずっと大丸心斎橋店から動いてないです(笑)。こうやって長く同じ場所で働くケースは珍しいと思いますよ」と松本。36年間の変化について聞いてみました。
「そうですねえ…昔に比べると超高額の時計であっても、一般のお客様がお求めになられるようになりましたね。みなさん、時計のことをよくご存知ですし、我々もお客様の要望に応えなくてはと思いますね」

リニューアルの3つの大きな軸。
それでは、今回の売場のリニューアルについて話を聞いていきましょう。元々大丸心斎橋店は、時計の品揃えが充実しているイメージがありますが、今回さらにそれを強化したということなのでしょうか?
「そうですね。強みをさらに強くということです。今回のリニューアルでは、大きく分けて3つの軸がありまして。まずは、ラグジュアリーウォッチブランドの直営ブティックの強化です」
時計界を代表するようなハイブランドの直営ブティックは、商品の数量や入荷の早さなどが他の店とは変わってきて、よそにはない限定品も多く品揃えしているそうです。

ジャパンブランドの充実。
2番目の軸として、松本は国産ブランドの強化を挙げます。
「『CASIO WATCH PREMIUM SHOP(カシオウォッチプレミアムショップ)』は拡大して、ブランド規模としては百貨店日本一になりました。『GRAND SEIKO(グランドセイコー)』も独立した売場となり、よりお客様の目に触れやすくなりました」と、松本もその充実ぶりに満足そうです。
ここにしかない逸品に出会える。
3つ目の軸は、“ここにしかない”キーワードのある店づくりです。
「たとえば、『ROGER DUBUIS(ロジェ・デュブイ)』は、全国でブティックが4店舗しかなく、大丸心斎橋店は関西で唯一のブティックです。それから、時計のスペシャリティ、BEST ISHIDAさんが、日本で初めての提案型コンセプトショップをオープンするなど、トピックスには事欠きません」と松本。
「PARMIGIANI FLEURIER(パルミジャーニ・フルリエ)」や「GIRARD-PERREGAUX(ジラール・ペルゴ)」など、スイスの高級メゾンも、ここまでしっかりブランドランナップしている百貨店は他にはないそうです。
〈JAEGER-LECOULTRE〉

ウォッチメーカー・オブ・ウォッチメーカー。
それでは、今回のリニューアルで注目すべきショップを案内してもらうことにしましょう。まずは、「JAEGER-LECOULTRE(ジャガー・ルクルト)」。1833年にスイスで創業した老舗メゾンです。
「今回のリニューアルでどうしても入っていただきたかったメゾンです。“ウォッチメーカー・オブ・ウォッチメーカー先駆者”と呼ばれ、190年以上の歴史を持ち、1,400以上の自社キャリバー、430以上の特許登録、180種類以上の専門技術を擁するすばらしいメゾン。高級機械式時計を求めて来られることが多い大丸心斎橋店のお客様にはマッチするメゾンなので、新しくオープンしたのは嬉しいですね」と松本。

スイスで一貫した時計づくり。
セールスアドバイザーの泉良佳さんが、「ジャガー・ルクルト」の高品質の所以について話をしてくれました。
「『ジャガー・ルクルト』では、スイスのジュウ渓谷という高級時計製造の中心地に、デザイナー・技術者全員がスタッフとして集結。すべて手作業で製造するマニュファクチュールです。デザイナー部門と技術部門があるのですが、ものづくりとしては、デザイナーがこんな時計を作りたいという想いに応えるように、技術者がそれに必要なパーツや技術をつくっていくのですが、その最高傑作のひとつはジャイロトゥールビヨンですね」
技術の粋を集めたトゥールビヨン。
2004年に開発した、ゼンマイの水平と垂直の複雑な動きを実現した3D球体トゥールビヨン、ジャイロトゥールビヨンには「ジャガー・ルクルト」の技術のすばらしさが集約され、数々のタイムピースに搭載されています。
ここでふと松本の手元を見ると、「ジャガー・ルクルト」の時計がさりげなく身に着けられていました。

ポロ競技から生まれたレベルソ。
「もう随分前に買ったレベルソ・クラシックで、今はこのモデルはないと思いますが、レベルソはブランドのアイコン的な時計。元々は、ポロ競技用につくられたのですね?」という松本の言葉を受けて、泉さんは、「そうです。イギリスの将校がインドに行った時にポロをやっていて、ボールが当たっても割れないようにとケースを反転させるよう考案した時計。レベルソというのはラテン語で“反転する”という意味なんです」と答えてくれます。
裏面にもさまざまなデザイン。
「私のはシンプルな鏡面仕上げですが、反転させた裏面にもう一つのダイヤルがあったり、いろいろとデザインされたものも多いんですよ」と松本。
裏面の装飾は、精緻なムーブメントをあらわにしたスケルトンのタイムピースがあったり、エングレービング(彫刻)を施したものもあります。

オリジナルの彫りも可能。
「オリジナルのエングレービングも可能で、東京には日本で唯一の『ジャガー・ルクルト』のテクニカルセンターがあるんですが、そこにエングレーバー(彫金師)が一人いて、細かい彫りなどもお客様の要望に応えることができます」と泉さん。

ブティック限定のレベルソ。
誕生当時のレベルソにオマージュを捧げたレベルソ・トリビュートの中から、大丸心斎橋店では、ブティック限定のタイムピース、レベルソ・トリビュート・クロノグラフを用意しています。
「時計針のみのシンプルなブルーの文字盤を反転させると、ムーブメントの精緻さがよくわかるスケルトンの文字盤が現れます。完全一体型の手巻きクロノグラフムーブメントは、マニュファクチュールの傑作です。こちらはオーダー生産になりますので、ここで現物を見ていただき、3カ月から半年でお届けすることができます」と泉さん。

海外で人気のマスター・ウルトラスリム。
「日本ではレベルソが有名なんですが、世界的にはこちらも人気です」と泉さんが紹介してくれたのがマスター・ウルトラスリム・デイト。ステンレススチール製で、シンプルでいてモダンなスタイルは、時計愛好家に愛されそうなクラシックな時計です。

古びない技術とデザイン。
「『ジャガー・ルクルト』の歴史を感じていただきながら、お客様の歴史とすり合わせて共感してもらえればいいなと思っております」と泉さん。綿々と受け継がれてきた高度な技術と古びないデザインは、さすがは“ウォッチメーカー・オブ・ウォッチメーカー”と称される気品に溢れています。
〈PANERAI〉

ニューオープンした「パネライ」。
続いて訪れたのは、こちらもこのたび新しくオープンした「PANERAI( パネライ) 大丸心斎橋店 ブティック」です。
「ブランドの中でも非常に大きい店舗で、商品もフルライン。ブティック限定の商品も多くそろっています」と松本。

イタリア海軍がルーツの時計。
「もともとイタリア海軍に供給した時計なんですよね?」という松本の問いかけに、「そうなんです。『パネライ』の創業は1860年なんですけど。軍事機密があったので、世に出るのはだいぶ遅かったんですよ。海軍が使っていたということで、海に潜った時にはっきりと見えやすいように大きな文字盤が特徴となっています」とスタッフの秋田丈文さん。
イタリアンデザインの真髄。
イタリア海軍の厳しいスペックに応える精密さと機能性、そしてイタリアブランドならではのデザイン性を兼ね備える「パネライ」を代表するコレクションがルミノール。創業者ジュゼッペ・パネライが開発したリュウズプロテクターと大型のクッションケースが存在感を醸し出しています。

ヨットチームが使用するモデル。
「こちらはブティック限定のサブマーシナル ルナ ロッサです。これはアメリカズカップなどで活躍するイタリアのヨットチーム、ルナ ロッサが使用しているモデル。ストラップは、チームに協賛するプラダとミラノに本社を置くタイヤメーカー・ピエリと3社の競作です」
秋田さんがそう語るように、プラダならではのストラップがモダンでファッショナブルです。
間口も広く、女性の購入も
秋田さんに、オープンして約1カ月経ってのお客様の来店の様子を聞きました。
「路面店に比べると、百貨店なのですごく間口が広く、フラッと気軽に立ち寄っていただきやすいようです。女性のお客様もたくさんいらっしゃって、『パネライ』の時計を始めてご購入いただく方も多いですね」
〈Luxury Time Lounge〉

日本初の提案型コンセプトショップ。
続いて訪れたのが、こちらも12月4日にオープンした「Luxury Time Lounge(ラグジュアリー タイムラウンジ)」。数多くのブランドを取り扱い、ヴィンテージ販売もしている国内最大級の時計専門店、BEST ISHIDAが今回初めて展開する提案型のコンセプトショップです。

時計とジュエリーを合わせて展開。
「この店では、なによりも『GERALD CHARLES(ジェラルド・チャールズ)』を扱っていることに注目してほしい。それから『FOPE(フォッペ)』というイタリアのジュエリーブランドも扱い、時計とジュエリーを一つのショップで展開する形態は、われわれも初めてです。それ以外にも、メジャーではないが独創的な時計が月替わりで店頭に並ぶという面白いショップです」と松本。
ラグスポ人気に火をつけたデザイナー。
「ジェラルド・チャールズ」に注目すべき理由を松本に聞くと、次のような答えが返ってきました。
「ここ何年かずっとそうですけど、時計界のトレンドは、ラグスポ(ラグジュアリースポーツ)が人気なんですね。その火付け役となったのが『AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ)』のロイヤル オークであったり、なかなか手に入らないんですけど、『PATEK PHILIPPE(パテック・フィリップ)のノーチラスもそう。これらのすべてを『ジェラルド・チャールズ』のデザイナー、ジェラルド・チャールズ・ジェンタがデザインしているんです』

“時計界のピカソ”最後のブランド。
ラグスポは、高級時計でありながら、ステンレススチールを使用するなどスポーティーさがあるものをこう呼びます。その代表的なコレクションをすべてデザインしたというジェラルド・チャールズ・ジェンダは“時計界のピカソ”と称されるほどの巨匠です。
「ジェンダさんはすでに亡くなられていて、生前最後に立ち上げたブランドが、『ジェラルド・チャールズ』です」と「ラグジュアリー タイムラウンジ」の森田隆さん。

生産数の少ない希少なブランド。
実は、「ジェラルド・チャールズ」の正規販売店は全国でも4店舗しかなく、近畿ではここだけ。大丸心斎橋店は、巨匠のデザインを実際に見ることができる貴重な場所というわけですが、どうしてこれだけ希少なのか、森田さんに聞いてみました。
「生産数が年間で約1,500本しか作ってない小さなブランドなんですよ」

独創性豊かなブランドを月替わりで。
「ラグジュアリー タイムラウンジ」では、目玉の「ジェラルド・チャールズ」以外にも、月替わりでさまざまなブランドが登場するという楽しみがあります。
「時計好きのお客様が見て楽しめるブランド…いわゆるメジャーなブランドとはちょっと毛色が違う独創性がある時計をそろえています。今店頭にある「RESSENCE(レッセンス)」は、2010年にベルギーでローンチしたブランドなんですけど、これを見て足を止めるお客様も多いですね」と森田さん。

時計も輝くブレスレット。
時計とジュエリーを合わせて提案する「ラグジュアリー タイムラウンジ」ですが、ジュエリーの主力ブランドが「フォッペ」。1929年にイタリア・ヴィチェンツァで創業した世界的なジュエリー・ブランドです。
独自技術によってつくられる、ブランドのアイコンFLEX’IT(フレグジット)ブレスレットを見ながら松本は、「これを時計といっしょにつけるとかっこいいですよ」

大丸心斎橋店時計売場の魅力。
斬新でユニークなスタイルに注目ですが、このようなスタイルのショップを大丸心斎橋店にオープンさせた理由を森田さんに聞いてみました。
「やはり、より多くの時計ファンの方に来ていただける魅力ある場所だと思ったからです。このスタイルのショップは他にはなく、大丸心斎橋店のようなきちんとした時計売場があってこそ成立するショップなので、われわれだけでは到底できなかったと思います」

時計回りのアイテムも充実。
そのほか、大切な時計を収めるケースも、デザインがよく高級なものを用意。貴重な時計やジュエリーを実際に手にして見ることができるニュースタイルのショップ。時計好きならぜひ一度訪れたいものです。

〈JEAN ROUSSEAU Paris〉

名門時計ブランド御用達のストラップ。
最後に案内してくれたのは、腕時計には欠かせないストラップのショップ。1954年にフランス・パリで創業した「JEAN ROUSSEAU Paris(ジャン・ルソー パリ)」です。

国内で2店舗目が大丸心斎橋店に。
『ジャン・ルソー パリ』は、名だたる高級時計ブランドのストラップ製作を手がけています。日本では、これまで銀座の直営店だけでしたが、今回大丸心斎橋店が国内2店舗目となります。カスタムオーダーできるので、銀座店には、本当に時計が好きな人が自分だけのストラップをつくりに来られます」と、松本も待望のブティック誕生がうれしそうです。
ショップではアトリエ機能も。
出迎えてくれたのは、白衣を着たテクニカルセールスの渡邊直幹さん。
「白衣を着てマスクしていると、手術ですかと言われます(笑)。各国のジャン・ルソー ショップのバックヤードには工房があって、現地の職人がフランス・ブザンソンの工場で丁寧に仕上げられた良質な革素材だけ製作しています。財布などの革小物は基本的にフランス本国で作られていますが、時計ストラップに関しては、各国のお客様がオーダーメイドで注文されたものを現地の職人が製作するスタイルです」

カラーバリエーションが豊富。
オーダーメイドでお選びいただける色は、ブティックに置いてあるカラーチップだけでも約150種。ステッチの糸の色も豊富です。
「既製品のストラップには、自分が希望する色がないと言われてお求めに来られるお客様がやっぱり多いですね。あとは、ブランドでディスコンとなり手に入らなくなったストラップが欲しいというケースも時々あります。大丸心斎橋店に入っている時計ブランドのストラップはほとんど対応できますね。ここは言ってみれば、ストラップの駆け込み寺みたいなものかな」と渡邊さん。
フルオーダーが中心。
渡邊さんの話を聞いていた松本は、「もともとOEMもやっていたので、グレードの高い有名時計ブランドとの親和性がすごく高いわけですね」。
「ケースが薄いドレスウォッチには肉厚の薄いストラップにするなど、時計に合わせてカスタマイズしていく感じですね。ブランドごとに特徴があるので、それをモチーフにして仕上げることもできますし、お客様がこういうデザインと仕上がりでと希望すれば、それを踏襲してつくっていけます。パターンオーダーもありますが、フルオーダー中心に対応させていただいてます」と渡邊さん。
直接職人とやりとりしながらオーダー。
銀座店では、来店されるお客様の9割がオーダーを希望されるそうです。
「ご来店がむずかしい方はウェブでもご注文いただけますが、直接店頭に来てお話しするのも楽しいという方もいらっしゃいます。それから、特にストラップやステッチの色で迷われている方は、やっぱり実際に現物を見たいという方も多いです。好みとか、ビジネスなのかカジュアルなのか実際に使うシーンをヒアリングしながら、色を提案していく感じです」と渡邊さん。
自分だけのオリジナルストラップを誂えるなら、カラーバリエーションの豊富さ、クオリティに信頼がおける「ジャン・ルソー パリ」にオーダーするのがよさそうです。

時計選びが楽しくなるフロアが実現!
「今日案内したブティックの他にも、「VACHERON CONSTANTIN(ヴァシュロン・コンスタンタン)」さんは、今回のリニューアルによって倍ぐらいの広さになり、最高の環境になりました。ラグジュアリーブランドの直営ブティックが強化され、ジャパンメイドも充実。ここにしかないキーワードのあるショップも増え、時計選びが楽しくなるフロアができあがりました」と松本。
3つの軸を中心に、大きく進化を遂げた大丸心斎橋店の時計売場。まずは一度足を運んでみるのがいいかもしれません。
※今回掲載の内容は2025年2月10日現在の情報を掲載しています。
*こちらで紹介している商品は以下の場合がございます。その点、あらかじめご了承ください。
*価格が変更になる場合がございますので、あらかじめご了承くださいませ。
*掲載の品は一部数量限定品です。売り切れの際はご容赦ください。
写写真/竹田俊吾 取材・文・編集/蔵均 WEBデザイン/唯木友裕(Thaichi) 編集・プロデュース/河邊里奈(EDIT LIFE)、松尾仁(EDIT LIFE)
MAGAZINE / WATCHES
時計売場が、より広く、
見やすく、魅力的に。
NEW OPEN REPORT
FEATURE
SWEETS
“ライブ感”や“鮮度”にこだわる
ニューオープンのスイーツ店。
NEW OPEN REPORT
FEATURE
SWEETS
スイーツの新店をご案内。注目は、
「ローカリティ」と「サステナビリティ」。
NEW OPEN REPORT