
宮岸 蒼 札幌ファッションデザイン専門学校DOREME 学生
古着に息を吹き込むリメイクデザイナー
不要な服を回収し、リサイクル&リユースする持続可能な参加型プロジェクト「ECOFF(エコフ)」。百花祭では、札幌ファッションデザイン専門学校の在学生やOBのみなさんが、お客さまから回収した服をリメイクした「エコフリメイクファッションショー」を開催。自主ブランドで参加してくれた3年生の宮岸 蒼さんをご紹介します。

宮岸さんのお洋服に対する想いや愛がとても伝わってきたインタビューでした。コロナ禍で今までとは違う環境であっても、自ら率先して仲間と一緒に素敵な作品を作るぞ!という行動力は、聞いている私も勉強になりました。これからも応援しています!
宮岸 蒼 みやぎし あおい2>
札幌ファッションデザイン専門学校DOREME 専攻科3年生
2003年北海道札幌市生まれ。市立札幌清田高校普通科グローバルコース出身。札幌ファッションデザイン専門学校DOREME 専攻科3年生。石川藍史さんと取り組む自主ブランド『kick margin』や、さまざまな才能を持つアーティストが表現できる場を運営する『Homophones』を主宰。

古着が生まれ変わる「エコフ リメイクファッションショー」
私たち大丸札幌店では、家の中に眠っている不要な服を回収し、大切な資源としてリサイクル&リユース&リメイクする持続可能な参加型プロジェクト「ECOFF(エコフ)」に取り組んでいます。
今回、初めての取り組みとしてECOFF(エコフ)で回収した衣料品を札幌ファッションデザイン専門学校DOREMEの在学生や卒業生がリメイクして新たな価値を生み出す「エコフ リメイクファッションショー」を2024年9月28日に開催しました。
卒業生とともに『kick margin(キック マージン)』というブランドを立ち上げ、1階コリドール(外廊)で開催された「エコフ リメイクファッションショー」に参加してくれたのは、専攻科3年生の宮岸蒼さん。
オープニングを飾った動画も、『kick margin』のおふたりが制作してくれました。学内外のイベント企画や、自主活動のPOP-UP SHOP(ポップアップショップ)などに意欲的な、行動力抜群の学生さんです。

学校生活はファッション好きの友人たちに囲まれて
「スタイリストになって海外で活躍したい!」「海外でボランティア活動がしたい!」。そんな思いから英語科のある高校へ進学。在学中からモデル活動をしている女の子と友達になりました。ファッション業界を目指すふたりは、すぐに意気投合したそうです。
「モデルをやっている子だったので、スタイリストさんに会わせてくれたり、撮影アシスタントとして現場に同行させてもらったり。彼女は活躍して東京へ行ってしまいましたが、いつか仕事で再会したいと思っています」と、宮岸さんは自分にきっかけをくれた友人と現場で会える日を目指しています。
「ドレメ」には「ファッションが好き!」という共通の思いを持つ仲間が集まります。服飾の仕事はチームで取り組む場面も多いため、仲間それぞれの特性を知り、交流できる日々は課題がたくさんあっても充実しています。先生や同級生に教えてもらいながら、縫製の技術も格段に向上。知識は忘れてしまうことがあっても、一度身についた技術は体に染みつくことを実感しました。今では、服を見ると大体の構造がわかるそうです。
「自分の信念があるからこそ、人と意見が違っても、相手を攻撃せずに意見交換できる環境でした。昼休みに『今回のDIOR(ディオール)のショーは、こうだったね』なんて、自然とファッションショーの話になるんです」。


「女性のコンプレックスに寄り添う」がコンセプトのドレスを制作
思い入れがある作品は、2年次にグループで取り組んだウエディングドレスの卒業制作。ドレス生地を扱う難しさもありましたが、もっとも力を込めたのはコンセプトでした。結婚式場に出向いてヒアリング。家族の経験談も参考にしました。
「『女性のコンプレックスに寄り添う』をコンセプトにしたウエディングドレスを制作したんです。ベースのデザインはありますが、お客さまとのカウンセリングをふまえて、一人ひとりの隠したい部位や見せたい部位を反映して、腕を付けるのか外すのか、肩を隠すのか出すのか、色は何色にするのか、といった具合に決めていきます。5人のグループで5体、私は動きやすさにも着目して、下半身をカバーするパンツスタイルのドレスを作りました」。
人生でもっとも自分の写真が残る日だからこそ、”その人が見せたい自分であれるよう、隠すも生かすも自由“なドレスを考案。女性の審査員の先生を中心に「コンセプトがいい」「本当にビジネスにできそうだね」と評価をもらえた作品です。チームで取り組み、もっとも力を入れた部分を褒めてもらえたことが、大きな励みになりました。

ファッションのイベントに挑戦した数だけ、自分の経験値が増える
小さな頃から率先して、リーダーや応援団長をやってきたという生粋の目立ちたがりだったという宮岸さん。企画があれば、何にでも挑戦してきました。
「挑戦すれば、何が良くて、何が悪かったか、何が進んだのか自分にフィードバックできるので、その後にできることが増えていくと思っているから。先行きが不安な企画もありますが、ただ人に付いていくのではなく、自分の意見も発信して『問題があれば私が動く!』ってくらいの気概を持ってやっています。おんぶに抱っこじゃもう駄目な年齢ですから」。21歳の宮岸さんが語る力強い言葉は、年齢に関係なく周囲の人を鼓舞してくれます。
「エコフ リメイクファッションショー」の企画も、校長先生から聞いたその場で引き受けてくれたのだとか。卒業生の石川 藍史さんとふたりで活動している『kick margin』は、リメイクを主体にして、テーマごとにショールック用の服とリアルクローズを展開してくれました。
2024年夏には、服作りからイベントの企画、SNSやフライヤーでの宣伝から販売までのすべてを手がけたPOP-UP SHOPで初の販売にも挑戦したばかり。全財産をはたいて服を買ってくれた高校生や、購入した服の着用写真をSNSに発信してくれたお客さまと出会い、自分たちが作った服を「かわいい!」と言ってもらえる喜びを体験しました。
「古着は宝探しだと思いながら、服をリメイクしています。「エコフ リメイクファッションショー」のオープニング動画には、“思い出のつまった服も生まれ変わるし、思い出も無駄にならないよ”という気持ちを込めました」。かつて自分がファッション雑誌を見て憧れたように、小さな子どもがファッションに興味を持つきっかけになってくれたらとの願いを込めて制作に打ち込んでくれました。
卒業後は、『kick margin』のブランドをビジネスにすることを目指しています。「最初はアルバイトしながらPOP-UP SHOPとECサイトの運営から始めるつもりです。そして将来は、東京で活動したいですね。人が集まる場所なので、出会いも増えるかなと思っていて。今まで私たちは人の出会いに救われてやって来られたので、出会いを広げ、繋げられたら。未来の自分ですか?実店舗を構えられたらうれしいですね」。宮岸さんならきっと、夢を実現しているはずです!
※本記事の情報は、2024年9月のものです。