~二十四節気とともに綴る京都の食卓~

うつりかわる季節を楽しみ、旬を味わう、京都人の美意識と知恵。四季のある日本で、京都の人たちはひときわ季節を大切にしてきました。古くから季節の指標として用いられてきた「二十四節気」を軸として、名店の料理とともに、京都の暮らしにとけこむ食の風景を綴ります。

2021/10/8~10/22[

満ちゆく秋の
十三夜。

十五夜からひと月ほどあとの旧暦9月13日のお月見。
満月ではなく少し欠けた月を愛でるのが日本人らしい美意識です。
今年は10月18日(月)が十三夜。枝豆や栗を供えることから、豆名月、栗名月とも呼ばれます。

2021/10/08

熟す前が食べごろの枝豆。

枝豆が成長すると何になるかご存じでしょうか。答えは大豆。枝豆は大豆が熟す前の青いときに収穫したものです。そして、黒豆が熟す前に収穫した枝豆もあり、一般的な大豆の枝豆はビールの友というイメージどおり夏が旬ですが、黒豆の枝豆は今が旬です。豆名月とも称される十三夜。満ちる前の月を眺めながら、熟す前の枝豆を味わうとは洒落ていますね。ちなみに植物分類学上、大豆は豆類ですが、枝豆は野菜類に属すそうです。

季めくり季の味■地階 京の銘店そう菜売場

〈天ぷら八坂圓堂〉

豆名月にちなんだ
色とりどりのハーモニー。

枝豆、レッドキドニー、大豆、黒豆、ひよこ豆。豆名月にちなんだ新作は5色の豆と玉ねぎのかき揚げです。枝豆はコクと甘みのある京都産の黒大豆枝豆を使っているほか、5種それぞれに豊かな風味や食感があり、青(緑)・赤・黄・黒・白の5色は古くから縁起担ぎにも用いられてきた色。食材が透けて見えるほどの薄衣で揚げているので、華やかな色を目でも楽しめます。ほかにも、香り高い舞茸の天ぷら、青のりの風味がくせになるちくわ磯辺揚げなど、秋の食欲を刺激するラインアップです。

〈天ぷら八坂圓堂〉

天ぷら各種(1個)
五色豆のかき揚げ 税込280円
舞茸 税込120円
ちくわ磯辺揚げ 税込150円
海老しそ巻き、海老 各税込160円
れんこん 税込190円

〈京都#134071;兆〉
〈京都#134071;兆〉
〈京都#134071;兆〉
 
 
 

栗名月も、豆名月も。
だしで引き立つ素材の持ち味。

「𠮷兆のだし」は本枯鰹節と羅臼昆布を使用し、日本料理の命であるだしを家庭料理でも手軽にと開発された、だしパックです。沸騰したお湯400mlにだしパック1袋を入れ、中火で5分煮出せば、基本だし約300mlができあがり。お湯とだしパックの量を調整すれば、好みの濃さのだしにできます。さて、だしを使った調理例2種。栗ごはんは、米を研いだら水代わりに冷ましただしに浸し、塩を加えて、皮をむいた栗をのせて炊きます。大豆の五目煮は、ひと晩水に浸けておいた大豆と湯通しした油揚げをたっぷりのだしと味醂で柔らかくなるまで炊き、さっと炒めた人参や湯戻しした高野豆腐、こんにゃく、椎茸を加えて、醤油で味を調えます。いずれも素材の持ち味を大事にし、だしのうまみとシンプルな調味料で仕上げました。

〈京都𠮷兆〉

𠮷兆のだし(だしパック5袋入)税込1,080円
●オンラインショッピングでも販売しています。詳しくはこちら

〈二傳〉

白味噌をかくし味にした
京都仕立てのグラタン。

だしで炊いた里芋やきのこに特製のベシャメルソース(ホワイトソース)をかけ、上には栗の甘露煮がゴロゴロたっぷり、紅葉に飾り切りした人参や銀杏も散りばめて焼きあげました。ベシャメルソースは牛乳、バター、小麦粉で作るフランス料理の基本的なソースですが、そこに白味噌を加えることで、深みと奥行きのある京都らしい味わいに。栗名月をお題に料理人が創意を凝らし、フレンチと京料理の魅力を融合させた新作です。

〈二傳〉

惣菜など各種
[2種]税込1,080円から
[3種]税込1,620円から
[4種]税込2,160円から
栗と里芋ときのこの和風グラタン(1人前)
税込540円相当
※2パック以上での販売のため、単品販売はしておりません。

〈下鴨茶寮〉

彩り華やかな折詰を
観月の宵に、行楽に。

山海の幸と炊き込みごはんが、六角形の折箱に彩りよくバランスよく。柚子がほんのりと香る鰆柚庵焼や合鴨くんせい、海老、だし巻き玉子をはじめ、湯葉ちりめん山椒や粟麩揚げ煮、秋らしい栗甘露煮や三度豆、甘藷レモン風味煮、紅葉の花麩など、おかずは17種も。調理法や味つけのバラエティーに富んでいて、どこからお箸をつけてもぞんぶんに楽しめます。

〈下鴨茶寮〉

六角(1人前)税込1,620円
●各種お弁当のご予約を承ります。詳しくはこちら

  • ※本記事の内容はホームページ掲載時の情報です。
  • ※季節のメニューなど、商品により販売期間が限られていますので、ご了承ください。
  • ※やむを得ない事情により、食材の一部を変更する場合、予告なく価格変更、販売終了する場合がございます。
  • ※写真はいずれも盛り付け例です。皿などの容器は商品に含まれません。

2022年

[2022/2/4~2/18]

都大路に春一番が吹き、梅の花がほころび始めます。厳しい余寒が続く中にも、新しい季節の兆しはそこかしこに。

[2022/2/19~3/4]

雪が雨に変わる頃の意で雨水。北山の雪解け水が鴨川をうるおし、三寒四温を繰り返しながら、少しずつ春めいてきます。

けいちつ

[2022/3/5~3/20]

春の陽光に誘われ、冬ごもりしていた虫たちが動きだす。鴨川沿いの柳は鮮やかに芽吹き、早咲きの桜が花を開きはじめます。

しゅんぶん

[2022/3/21~4/4]

沈丁花の香りが漂い、椿や木蓮、雪柳、桜…と次々に咲き、つばめが飛来しはじめ、いよいよ本格的な春の到来です。

せいめい

[2022/4/5~4/19]

清らかな陽光にみちて、生きとし生けるものすべてがいきいきと生命を謳歌する季節。京都の街は桜色に染まります。

こく

[2022/4/20~5/4]

百穀春雨と呼ばれる恵みの雨がしっとりと大地に降りそそぐ頃。藤や石楠花、杜若が見頃を迎え、街路樹は瑞々しい若緑色へ。

りっ

[2022/5/5~5/20]

爽やかな青空が広がり、青もみじが目に眩しく、風薫る五月。納涼床、川床が始まり、夏日となる日も次第に多くなります。

しょうまん

[2022/5/21~6/5]

草木や枝葉が生い茂り、梅の実がふくらむ頃。衣替えや建具替えをすると、町並みも夏らしい装いに。

ぼうしゅ

[2022/6/6~6/20]

梅雨入りを迎え、雨に濡れた色とりどりの紫陽花が美しい頃。各地の寺社で田植祭や竹伐り会式など豊作を願う神事が行われます。

[2022/6/21~7/6]

都大路をしとしとと雨が濡らす頃。神社では夏越祓の神事が行われ、鉾町にお囃子の音色が響きだし、京都の夏はいよいよ本番へ。

[2022/7/7~7/22]

コンチキチンの音色が響き、夏の暑さはいよいよ盛り。3年ぶりの山鉾巡行が待ち遠しく例年にも増して町が活気づきます。

[2022/7/23~8/6]

朝早くから蝉が大合唱し、空には大きな入道雲が立ちのぼり、京の油照りと言われる盆地特有の蒸し暑さが続きます。

[2022/8/7~8/22]

じっとりとした残暑が続く毎日。万灯会や灯篭流しが行われ、五山の送り火を終えると、京都の街はようやく秋の気配に。

[2022/8/23~9/7]

赤とんぼの姿、鈴虫の声。山々の緑は濃くなり、夏の入道雲と秋の鰯雲が混じり合う、行き合いの空が見られる頃です。

[2022/9/8~9/22]

朝晩は日ごとに涼しさが増し、草花が白い朝露をむすぶ頃。萩の花がしだれ咲き、夜空には美しい月が輝きます。

[2022/9/23~10/7]

暑さ寒さも彼岸まで。肌に心地いい秋風が金木犀の甘い香りを漂わせ、色鮮やかな彼岸花を揺らします。

[2022/10/8~10/22]

すすきの穂が黄金色に輝き、菊の花は色とりどりに。秋の日暮れは釣瓶落とし、そろそろ燗酒が恋しくなります。

[2022/10/23~11/6]

ひんやりと風が冷たく、朝晩は吐く息が白くなり始める頃。山野は晩秋の色を帯び、菊の花は見頃を迎えます。

[2022/11/7~11/21]

街のあちらこちらでお火焚きの煙が立ち昇る頃。山々や街路樹が次々と色づき、京都に美しい緋色が広がります。

[2022/11/22~12/6]

山茶花が花開き、鴨川にはユリカモメが飛来。しぐれるごとに寒さが増し、いよいよ本格的な冬の到来です。

[2022/12/7~12/21]

南座のまねき看板が上がると、京都の街は師走のにぎわいに。寺社では大根焚きや煤払い、終い縁日が行われます。

[2022/12/22~2023/1/5]

陰が極まり陽となる冬至。「ん」のつくもんで気を転じ、をけら詣りに除夜の鐘、歳神様をお迎えします。

[2023/1/6~1/19]

風花が静かに散らつき、寒椿が冬景色に彩りを添える頃。初釜式や十日ゑびすに向かう人波でまちが華やぎます。

[2023/1/20~2/3]

雪中四友と呼ばれる花々が咲き、寒さの底、来る春の兆し。初弘法、初天神、初不動、そして節分行事で寺社が賑わいます。

2021年

[2021/4/4~4/19]

清浄明潔を略して清明。清らかな陽光を受けて草木が芽生え、万物がいきいきと生命を謳歌し、都大路は桜色に染まります。

[2021/4/20~5/4]

穀物の種を蒔き、春雨に生育の願いを託す穀雨。八十八夜、茶摘みの季節が始まり、京都の街は桜色から瑞々しい緑色に。

[2021/5/5~5/20]

木々の緑がまぶしく、暦の上では夏。納涼床、川床が始まり、そして行列は中止ですが、五月といえば平安の時代から続く葵祭です。

[2021/5/21~6/4]

日差しが強くなり、木々の緑は深く。京都には〝家の作りようは夏を旨とすべし〟と涼の知恵が息づき、町家では6月1日に建具替えをします。

[2021/6/5~6/20]

芒(のぎ)はイネ科植物の突起のこと。麦を刈り取り、田植えをする時期です。京都のそこかしこで紫陽花が美しく、夕闇を舞う蛍が夏の風情を運びます。

[2021/6/21~7/6]

東山が雨にけむり、梅雨まっただ中。630日、京都各地の神社では夏越祓(なごしのはらえ)を行い、残る半年の無病息災を祈願します。

[2021/7/7~7/21]

疫病や災厄の退散を祈願して平安時代に始まったとされる祇園祭。おごそかに神事が行われ、京都の厳しい暑さは盛りを迎えます。

[2021/7/22~8/6]

三方を山に囲まれ、夏の暑さが厳しい京都盆地。鴨川の飛び石に子供たちの歓声が響き、堤防に草いきれが立ち込めます。

[2021/8/7~8/22]

盆地特有の残暑が続く日々。おしょらいさんをお迎えし、五山の送り火が終わると、ようやく秋の気配が漂いはじめます。

[2021/8/23~9/6]

ようやく暑さが少し和らぎ、虫の音も聞こえはじめる頃。8月下旬の京都では町内の路地で地蔵盆が繰り広げられます。

[2021/9/7~9/22]

草花に朝露が白く光り、虫の声が夕暮れをつつむ頃。京都の各所で秋の名月を愛でる風雅な祭事が行われます。

[2021/9/23~10/7]

ひんやりと頬をなでる風、どこからか漂ってくる金木犀の香り。秋分を境に日が短くなり、秋の夜長の始まりです。

[2021/10/8~10/22]

朝夕は肌寒く草木に露が降りる頃。天高く澄みわたり、遠く比叡山や愛宕山の姿も冴え、夜空には月がくっきりと輝きます。

[2021/10/23~11/6]

露は霜へと変わり、風は冷たく、いちだんと秋が深まる頃。秋の特別拝観や秋祭りで京都の街はにぎわいを増します。

[2021/11/7~11/21]

暦の上では冬が始まり、火の温もりが恋しくなる頃。京都は至るところで紅葉が広がり、美しい緋色に染まります。

[2021/11/22~12/6]

街に落葉が舞い、北山に初雪が舞い始める時期。南座に顔見世のまねきが上がると、いよいよ京都の町は師走の様相に。

[2021/12/7~12/21]

京都盆地に比叡おろしが吹き、大根焚きの湯気が上がり、パタパタと煤払いの音が聞こえると、正月準備を始める頃です。

[2021/12/22~2022/1/4]

一陽来復とも称される冬至。新年がよい年となるよう願い、しめ縄や松を飾り、鏡餅を供え、歳神さまを迎える準備をします。

[2022/1/5~1/19]

寒の入りといわれ、京都の底冷えが身にしみる時期。初ゑびす、小正月と続いて、新年の華やぎも落ち着いてきます。

[2022/1/20~2/3]

二十四節気の締めくくり。一年の邪気を祓い、心新たに春を迎えるために、各地の寺社で節分行事が営まれます。

番外編

[〜番外編~]

祭礼や年中行事などの日をハレ(晴)、普段の日をケ(褻)とし、非日常と日常を使い分ける文化が京都の暮らしに息づいています。

[〜番外編~]

相性のいい旬の食材の組み合わせを出合いもんと言います。季節、食材、人と人、調和を尊ぶ京都らしい美意識がここに。