2022/8/23~9/7[処暑]
五法を味わう。
和食の基本的な調理法である、生・煮・焼・蒸・揚を五法と言います。
バランスよく組み合わせることで、最後まで飽きずに食事が楽しめて、満足度が高まるため、
会席料理などには必ず五法の料理が並んでいます。
2022/08/19
五法、五味、五色で、
豊かな食卓に。
五法に加え、五味(甘・鹹〈塩〉・酸・苦・辛)、五色(白・黒〈紫〉・黄・赤・青〈緑〉)は、和食の献立を組み立てる際の基本。中国の陰陽五行説が日本流にアレンジされたもので、「五」を意識すれば、味わいにバラエティーが生まれ、見映えや栄養的にも自然とバランスが取れます。また、器や調度品も楽しむのが日本らしい美意識。今回は「五」にちなみ、五種の素材(陶・磁・硝子・金属・木)の器に料理を盛りつけました。
季めくり季の味■地階 京の銘店そう菜売場
"煮"― ひとつひとつに
手をかけた炊き合わせ。
炊き合わせとは、複数の食材をひとつの鍋で一緒に煮るのではなく、別々の鍋で煮てから盛り合わせた料理のこと。食材ごとに加熱時間や調味料の配合を調節することで、それぞれの持ち味が引き立ち、色うつりや煮くずれを防ぐことも。一見シンプルな料理ですが奥が深く、家庭ではなかなか真似のできない手間と技を要します。こちらは、小茄子に南瓜、おくら、トマトなどの夏野菜、そして穴子と野菜を入れた二傳特製豆腐の炊き合わせです。鰹と昆布のだしをベースにした上品な味つけで、食感にも彩りにも富んだ、和食のお手本のような一品。
〈二傳〉
惣菜など各種
[2種]税込1,080円から
[3種]税込1,620円から
[4種]税込2,160円から
夏野菜と穴子豆腐の炊き合わせ(1人前)税込540円相当
※2パック以上での販売のため、単品販売はしておりません。
"焼"― ふっくら柔らか、
白く美しい西京焼。
からす鰈(からすがれい)は体表が黒いことから"烏(からす)"の名がついたそうですが、その身は透き通るように白く柔らかく、脂を多く含んだ豊かなうまみをもちます。そのからす鰈を白味噌に漬けて焼いた西京焼。白味噌は麹が多くて塩分が少ないため、品のある甘みと香りを醸します。日本では古くから魚を味噌に漬ける保存法がありましたが、白味噌を使った西京焼は京都が発祥。平安時代からすでにあったとされ、当時は貴族たちしか口にできない贅沢品でした。
〈下鴨茶寮〉
からす鰈の西京焼(1人前)税込702円
"生"― 瑞々しいサラダに
豊かな食感や風味をプラス。
一皿の中に鮮やかな五色を散りばめた生野菜のサラダ。京都𠮷兆の「本さざなみ煮」をトッピングに、「うまだし」と「エキストラヴァージン オリーブオイル」をドレッシングに使いました。レタスは手でちぎり、胡瓜、ラディッシュ、茗荷、長芋、玉ねぎはそれぞれスライスし、水にさらしてシャキッとさせたら、よく水を切ります。とうもろこしは加熱後、実をほぐし、ミニトマトは半切りに。これらを彩りよく器に盛りつけたら、最後に本さざなみ煮を散らします。ドレッシングは、うまだし1:オリーブオイル1:レモン果汁+すだち果汁2の割合で混ぜ合わせ、すだちの皮のすりおろしも入れて香り豊かに仕上げます。「本さざなみ煮」は昭和30年頃に誕生したロングセラー。もとは琵琶湖の氷魚(ひうお、鮎の稚魚)の山椒煮でしたが、今はより食べやすく国産ちりめんじゃこを使用し、実山椒とともに炊いています。「うまだし」は鰹節、昆布、丸大豆醤油、本みりんで風味豊かに仕上げた、万能調味料。「エキストラヴァージン オリーブオイル」は日本の料理に合うようにと開発したもので、えぐみや苦味がなく、繊細な味わいです。
"揚"― 食材のうまみや香りを
凝縮させる、一瞬の技。
熟練職人の技によって、揚げる温度や時間を見極め、食材の魅力を最大限に際立たせる。揚げ油は"サラダ油の王様"と称される綿実油(めんじつゆ)を使用。綿花の種子を圧搾したもので、酸化しにくく臭いやクセがなく、さっぱり軽くて、素材の持ち味を邪魔しません。天ぷらは揚げものではなく蒸しものだと言う人もいるように、衣で包んで高温で余計な水分を逃がしつつ、食材がもつ水分で蒸すことによって、うまみや香りを凝縮させます。アボカドは生で食べる以上に濃厚な風味に。海老やちくわも、ぷりっと心地いい弾力です。
〈天ぷら八坂圓堂〉
天ぷら各種(1個)
アボカド 税込162円
海老 税込172円
ちくわの磯部揚げ 税込194円
■地階 和菓子売場
"蒸"― 村雨餡を用いて、
龍の姿を表した名品。
五法の"蒸"を生かした銘菓、雲龍。こし餡をそぼろ状に蒸した村雨餡(むらさめあん)で、国産の大粒小豆を炊いた小倉餡を手巻きし、雲に乗る龍の荘厳で雄々しい姿を表現しました。材料は小豆と砂糖と寒天を主とし、素材も形もシンプルなだけに職人の高い技術を要します。俵屋吉富は1755年に京都御所のほど近くに店を構え、長く禁裏御用を務めた老舗。雲龍は1924年に生まれ、まもなく100周年となる名品中の名品です。餡を蒸す、すなわち火入れをすることによって通常の生菓子よりも日持ちがし、また、棹菓子といって、好みの厚さに切って食べられる一本ものの形状が当時は画期的で、たちまち全国へと評判が広がったそう。誕生時は甘いことが高級とされる世の中だったため、今より甘みが強かったのですが、時代とともに変化する人々の嗜好やライフスタイルを考え、現当主の代で甘さを少し控えて小豆の風味をより生かすように。伝統を守りながら、しなやかな発想によって築かれてきた味わいは、お茶に合うのはもちろんのこと、薄くスライスして赤ワインに合わせても見事なマリアージュを奏でます。
〈俵屋吉富〉
雲龍(1棹)税込1,404円
※9月1日(木)から税込1,620円に価格改定いたします。
●オンラインストアでも販売しています。詳しくはこちら
- ※本記事の内容はホームページ掲載時の情報です。
- ※季節のメニューなど、商品により販売期間が限られていますので、ご了承ください。
- ※やむを得ない事情により、食材の一部を変更する場合、予告なく価格変更、販売終了する場合がございます。
- ※写真はいずれも盛り付け例です。皿などの容器は商品に含まれません。