~二十四節気とともに綴る京都の食卓~

うつりかわる季節を楽しみ、旬を味わう、京都人の美意識と知恵。四季のある日本で、京都の人たちはひときわ季節を大切にしてきました。古くから季節の指標として用いられてきた「二十四節気」を軸として、名店の料理とともに、京都の暮らしにとけこむ食の風景を綴ります。

2022/9/23~10/7[

実りの秋、
味覚の秋。

農作物は収穫期を迎え、魚は脂がのり、山海の幸に恵まれる季節。
旬の食材はおいしいだけでなく、その時期に体が必要とする栄養素を多く含むとも言われています。
ぞんぶんに味わい尽くし、秋を元気に満喫しましょう。

2022/09/16

食欲の秋はなぜ起こる?

秋に食欲が増す理由には諸説あり、まず1つ目は脳内の神経伝達物質セロトニンが関係しているという説。幸せホルモンとも呼ばれ、満腹感を与える働きがありますが、日照時間が短くなると分泌量が減るため、空腹を感じやすくなると言われています。次に気温が低くなると基礎代謝量がアップし、体がエネルギーを求めるという説。そして、秋はおいしい食材が出回るから、食欲がわくのは当然のなりゆきとする説もあるそうです。

季めくり季の味■地階 京の銘店そう菜売場

〈京都𠮷兆〉
〈京都𠮷兆〉
 
 
 

脂がのった鯖を
赤味噌の風味豊かに。

秋になると食べたくなる魚のひとつが鯖。こちらは日本近海で水揚げされた脂のりのいい鯖を仙台味噌や生姜で骨まで柔らかく炊いた、京都𠮷兆の「さば味噌煮」です。仙台味噌は長期熟成させた辛口の赤味噌で、そのまま食べてもおいしいことから"なめ味噌"と呼ばれるほど、米麹と大豆の風味が豊か。鯖と相性がよく、しっかりとした味わいながらも、あっさりとした後味に仕上がるので、ごはんのおかずや酒の肴にはもちろん、料理にも活用できます。写真2枚目は、鯖ごはんの調理例です。炊飯器に洗ったお米、しめじ、千切りの人参と生姜、荒くほぐした「さば味噌煮」を煮汁ごと入れ、醤油少々、水を加えて炊き、器によそったら、彩りに三つ葉をのせて、できあがり。

〈京都𠮷兆〉

さば味噌煮(2切れ・100g入り)税込756円
●オンラインストアでも販売しています。詳しくはこちら

〈天ぷら八坂圓堂〉

焼きいも、蓮根、秋なす。
季節の恵みをさっくりと。

実りの秋のおすすめ、写真手前は焼きいもの天ぷらです。通常は生のさつまいもを平たく切って揚げますが、こちらは文字どおり、焼いたさつまいもを揚げたもの。皮はパリッと香ばしくてほろ苦く、中はねっとりと柔らかくて濃厚な甘みがあり、その絶妙なバランスはいちど味わうとやみつきになります。写真奥は旬の走りを楽しむれんこんと、旬の名残を味わう秋なす。今の時期のれんこんは白く柔らかくシャキシャキとした瑞々しい食感をもちます。なすは夏が収穫の最盛期ですが、夏場は皮が厚くて果肉がしっかり詰まっているのに比べ、秋は柔らかくて種が少なく甘みが強く、天ぷらにすると、とろけるような舌ざわりです。いずれも年じゅう出回る食材ですが、旬ならではの持ち味を最大限に引きだしています。

〈天ぷら八坂圓堂〉

天ぷら各種(1個)
なす 税込162円
れんこん 税込248円
焼きいも 税込270円

〈二傳〉
〈二傳〉
〈二傳〉
 
 
 

美しい彩り、秋らしい香り。
自由な組み合わせで食卓へ。

二傳といえば、店頭の冷蔵ショーケースの約半分を占めているのが、枡形パックに入ったシリーズ。煮もの、焼きもの、ごはんものなどバラエティーに富んだ料理があり、2パック以上を自由に組み合わせて楽しめます。写真1枚目・2枚目はそれぞれ1パック分の盛り付け例。ほどよい分量が彩りよく詰めてあり、器に盛るだけで食卓がぱっと華やかに。そして、もう1品、写真3枚目は松茸の土瓶蒸し。香り高い松茸と身が肥えた秋鱧を黄金色のだしが引き立てる、秋ならではの贅沢な"出合いもん"です。

〈二傳〉

惣菜など各種
[2種]税込1,080円から
[3種]税込1,620円から
[4種]税込2,160円から
鯵と香味野菜の南蛮漬け(1人前)、
取肴盛り合わせ(1人前)各税込540円相当
※2パック以上での販売のため、単品販売はしておりません。

松茸の土瓶蒸し(1人前)税込1,728円

〈下鴨茶寮〉

上品な風味のあんが包む、
彩り豊かな3種。

上品なだしの風味のあんをとろ~りとかけた、3種のあんかけ詰め合わせです。1つ目は、飛龍頭に紅葉麩とねぎを添えたもの。豆腐に野菜を混ぜて揚げたものを関東では"がんもどき"と呼び、関西では飛龍頭と書いて"ひりょうず"や"ひりゅうず"、京都人は"ひろうす"と言います。2つ目は、ほくほくの南瓜に鶏そぼろあん。甘みのある南瓜に鶏肉のうまみがしみこみ、たまりません。3つ目は、旬の里芋を主役に海老やぶなしめじを合わせ、菊の花を散らしました。色とりどりで、食感や味わいもバラエティー豊か。冷たいままでも、軽く温めても、おいしく召し上がれます。

〈下鴨茶寮〉

秋の3種の彩りあんかけ(1パック)税込918円

〈湯葉弥〉
〈湯葉弥〉
 
 
 

■地階 日配品売場
京都の名水と良質の大豆、
熟練の技が生む、京湯葉。

京都の名産のひとつとして知られる湯葉。中国から日本に伝えられ、京都でも精進料理や懐石料理といった食文化とともに育まれてきました。淡白でくせがなく、奥深いうまみをもつ湯葉は、炊いたり焼いたり揚げたり、幅広い料理に利用されています。湯葉弥は1830年に創業して以来、湯葉ひとすじ。水盆と称される京都ならではの名水と厳選した国産大豆を使用し、絹の布で濾した純度の高い豆乳から、一枚一枚、職人の手でそっと丁寧に引き上げて京湯葉を作っています。写真は、平湯葉で銀杏、きくらげ、百合根を包みこんだ「ゆば衣」です。写真1枚目は調理前、2枚目はだしと醤油、砂糖、酒でさっと煮た調理例。ほかにも、お吸いものや鍋ものに入れたり、そのまま素揚げにしたり、さまざまに味わっていただけます。切ると断面の彩りも美しく、それぞれの食材と湯葉が調和した豊かな風味が口の中に広がります。

〈湯葉弥〉

ゆば衣(3個)税込712円
※10月1日(土)から税込810円に価格改定いたします。

  • ※本記事の内容はホームページ掲載時の情報です。
  • ※季節のメニューなど、商品により販売期間が限られていますので、ご了承ください。
  • ※やむを得ない事情により、食材の一部を変更する場合、予告なく価格変更、販売終了する場合がございます。
  • ※写真はいずれも盛り付け例です。皿などの容器は商品に含まれません。

2022年

[2022/2/4~2/18]

都大路に春一番が吹き、梅の花がほころび始めます。厳しい余寒が続く中にも、新しい季節の兆しはそこかしこに。

[2022/2/19~3/4]

雪が雨に変わる頃の意で雨水。北山の雪解け水が鴨川をうるおし、三寒四温を繰り返しながら、少しずつ春めいてきます。

けいちつ

[2022/3/5~3/20]

春の陽光に誘われ、冬ごもりしていた虫たちが動きだす。鴨川沿いの柳は鮮やかに芽吹き、早咲きの桜が花を開きはじめます。

しゅんぶん

[2022/3/21~4/4]

沈丁花の香りが漂い、椿や木蓮、雪柳、桜…と次々に咲き、つばめが飛来しはじめ、いよいよ本格的な春の到来です。

せいめい

[2022/4/5~4/19]

清らかな陽光にみちて、生きとし生けるものすべてがいきいきと生命を謳歌する季節。京都の街は桜色に染まります。

こく

[2022/4/20~5/4]

百穀春雨と呼ばれる恵みの雨がしっとりと大地に降りそそぐ頃。藤や石楠花、杜若が見頃を迎え、街路樹は瑞々しい若緑色へ。

りっ

[2022/5/5~5/20]

爽やかな青空が広がり、青もみじが目に眩しく、風薫る五月。納涼床、川床が始まり、夏日となる日も次第に多くなります。

しょうまん

[2022/5/21~6/5]

草木や枝葉が生い茂り、梅の実がふくらむ頃。衣替えや建具替えをすると、町並みも夏らしい装いに。

ぼうしゅ

[2022/6/6~6/20]

梅雨入りを迎え、雨に濡れた色とりどりの紫陽花が美しい頃。各地の寺社で田植祭や竹伐り会式など豊作を願う神事が行われます。

[2022/6/21~7/6]

都大路をしとしとと雨が濡らす頃。神社では夏越祓の神事が行われ、鉾町にお囃子の音色が響きだし、京都の夏はいよいよ本番へ。

[2022/7/7~7/22]

コンチキチンの音色が響き、夏の暑さはいよいよ盛り。3年ぶりの山鉾巡行が待ち遠しく例年にも増して町が活気づきます。

[2022/7/23~8/6]

朝早くから蝉が大合唱し、空には大きな入道雲が立ちのぼり、京の油照りと言われる盆地特有の蒸し暑さが続きます。

[2022/8/7~8/22]

じっとりとした残暑が続く毎日。万灯会や灯篭流しが行われ、五山の送り火を終えると、京都の街はようやく秋の気配に。

[2022/8/23~9/7]

赤とんぼの姿、鈴虫の声。山々の緑は濃くなり、夏の入道雲と秋の鰯雲が混じり合う、行き合いの空が見られる頃です。

[2022/9/8~9/22]

朝晩は日ごとに涼しさが増し、草花が白い朝露をむすぶ頃。萩の花がしだれ咲き、夜空には美しい月が輝きます。

[2022/9/23~10/7]

暑さ寒さも彼岸まで。肌に心地いい秋風が金木犀の甘い香りを漂わせ、色鮮やかな彼岸花を揺らします。

[2022/10/8~10/22]

すすきの穂が黄金色に輝き、菊の花は色とりどりに。秋の日暮れは釣瓶落とし、そろそろ燗酒が恋しくなります。

[2022/10/23~11/6]

ひんやりと風が冷たく、朝晩は吐く息が白くなり始める頃。山野は晩秋の色を帯び、菊の花は見頃を迎えます。

[2022/11/7~11/21]

街のあちらこちらでお火焚きの煙が立ち昇る頃。山々や街路樹が次々と色づき、京都に美しい緋色が広がります。

[2022/11/22~12/6]

山茶花が花開き、鴨川にはユリカモメが飛来。しぐれるごとに寒さが増し、いよいよ本格的な冬の到来です。

[2022/12/7~12/21]

南座のまねき看板が上がると、京都の街は師走のにぎわいに。寺社では大根焚きや煤払い、終い縁日が行われます。

[2022/12/22~2023/1/5]

陰が極まり陽となる冬至。「ん」のつくもんで気を転じ、をけら詣りに除夜の鐘、歳神様をお迎えします。

[2023/1/6~1/19]

風花が静かに散らつき、寒椿が冬景色に彩りを添える頃。初釜式や十日ゑびすに向かう人波でまちが華やぎます。

[2023/1/20~2/3]

雪中四友と呼ばれる花々が咲き、寒さの底、来る春の兆し。初弘法、初天神、初不動、そして節分行事で寺社が賑わいます。

2021年

[2021/4/4~4/19]

清浄明潔を略して清明。清らかな陽光を受けて草木が芽生え、万物がいきいきと生命を謳歌し、都大路は桜色に染まります。

[2021/4/20~5/4]

穀物の種を蒔き、春雨に生育の願いを託す穀雨。八十八夜、茶摘みの季節が始まり、京都の街は桜色から瑞々しい緑色に。

[2021/5/5~5/20]

木々の緑がまぶしく、暦の上では夏。納涼床、川床が始まり、そして行列は中止ですが、五月といえば平安の時代から続く葵祭です。

[2021/5/21~6/4]

日差しが強くなり、木々の緑は深く。京都には〝家の作りようは夏を旨とすべし〟と涼の知恵が息づき、町家では6月1日に建具替えをします。

[2021/6/5~6/20]

芒(のぎ)はイネ科植物の突起のこと。麦を刈り取り、田植えをする時期です。京都のそこかしこで紫陽花が美しく、夕闇を舞う蛍が夏の風情を運びます。

[2021/6/21~7/6]

東山が雨にけむり、梅雨まっただ中。630日、京都各地の神社では夏越祓(なごしのはらえ)を行い、残る半年の無病息災を祈願します。

[2021/7/7~7/21]

疫病や災厄の退散を祈願して平安時代に始まったとされる祇園祭。おごそかに神事が行われ、京都の厳しい暑さは盛りを迎えます。

[2021/7/22~8/6]

三方を山に囲まれ、夏の暑さが厳しい京都盆地。鴨川の飛び石に子供たちの歓声が響き、堤防に草いきれが立ち込めます。

[2021/8/7~8/22]

盆地特有の残暑が続く日々。おしょらいさんをお迎えし、五山の送り火が終わると、ようやく秋の気配が漂いはじめます。

[2021/8/23~9/6]

ようやく暑さが少し和らぎ、虫の音も聞こえはじめる頃。8月下旬の京都では町内の路地で地蔵盆が繰り広げられます。

[2021/9/7~9/22]

草花に朝露が白く光り、虫の声が夕暮れをつつむ頃。京都の各所で秋の名月を愛でる風雅な祭事が行われます。

[2021/9/23~10/7]

ひんやりと頬をなでる風、どこからか漂ってくる金木犀の香り。秋分を境に日が短くなり、秋の夜長の始まりです。

[2021/10/8~10/22]

朝夕は肌寒く草木に露が降りる頃。天高く澄みわたり、遠く比叡山や愛宕山の姿も冴え、夜空には月がくっきりと輝きます。

[2021/10/23~11/6]

露は霜へと変わり、風は冷たく、いちだんと秋が深まる頃。秋の特別拝観や秋祭りで京都の街はにぎわいを増します。

[2021/11/7~11/21]

暦の上では冬が始まり、火の温もりが恋しくなる頃。京都は至るところで紅葉が広がり、美しい緋色に染まります。

[2021/11/22~12/6]

街に落葉が舞い、北山に初雪が舞い始める時期。南座に顔見世のまねきが上がると、いよいよ京都の町は師走の様相に。

[2021/12/7~12/21]

京都盆地に比叡おろしが吹き、大根焚きの湯気が上がり、パタパタと煤払いの音が聞こえると、正月準備を始める頃です。

[2021/12/22~2022/1/4]

一陽来復とも称される冬至。新年がよい年となるよう願い、しめ縄や松を飾り、鏡餅を供え、歳神さまを迎える準備をします。

[2022/1/5~1/19]

寒の入りといわれ、京都の底冷えが身にしみる時期。初ゑびす、小正月と続いて、新年の華やぎも落ち着いてきます。

[2022/1/20~2/3]

二十四節気の締めくくり。一年の邪気を祓い、心新たに春を迎えるために、各地の寺社で節分行事が営まれます。

番外編

[〜番外編~]

祭礼や年中行事などの日をハレ(晴)、普段の日をケ(褻)とし、非日常と日常を使い分ける文化が京都の暮らしに息づいています。

[〜番外編~]

相性のいい旬の食材の組み合わせを出合いもんと言います。季節、食材、人と人、調和を尊ぶ京都らしい美意識がここに。